【THIRTYTWO】STW DOUBLE BOAの評価|初心者におすすめの理由とジャンル別適正

THIRTYTWO「STW DOUBLE BOA」、スノーボードブーツ選びで候補に挙がっている方も多いのではないでしょうか。特に、ダブルBOAという響きに惹かれつつも、「実際の使い心地はどうなの?」「自分の滑りに合っているのかな?」といった疑問を感じているかもしれません。
ブーツはライダーとボードを繋ぐ重要なギア。そのフィット感や硬さ(フレックス)が、その日の楽しさや上達のスピードを大きく左右します。
このSTW DOUBLE BOAは、多くのライダーから支持されていますが、その特徴を正しく理解し、自分の目的と合致しているかを見極めることが大切です。
この記事では、STW DOUBLE BOAの評価について、スペックの詳細からフリーランやグラトリといったジャンルごとの相性まで、専門的な視点から徹底的に解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたがこのブーツを選ぶべきかどうかが明確になっているはずです。
- STW DOUBLE BOAの具体的なスペックと特徴
- ダブルBOAシステムがもたらすメリットと使い方
- フリーランやグラトリといったジャンルごとの相性
- 初心者がこのブーツを選ぶべき明確な理由
THIRTYTWO・STW DOUBLE BOAのスペック評価
対象 | メンズ / レディース |
サイズ感 | やや小さめ(0.5cm〜1.0cmのサイズアップを推奨する声が多い) |
硬さ (1-10) | 3 / 10 (ソフトフレックス) |
重さ (1-10) | 2 / 10 (非常に軽量) |
締め付け力 (1-10) | 7 / 10 (2つのBOAで足首周りも甲もしっかりホールド可能) |
ここでは、THIRTYTWO STW DOUBLE BOAの具体的な性能について、以下の6つのポイントから詳しく見ていきましょう。
ダブルBOAがもたらす操作性の高さ
THIRTYTWO STW DOUBLE BOAの最大の魅力は、その名の通り2つのBOAダイヤルを搭載している点にあります。このシステムは、ブーツの操作性を劇的に向上させ、誰でも簡単かつ素早く最適なフィット感を得ることを可能にします。
なぜなら、タン部分のダイヤルがブーツ全体を、側面部のダイヤルが足首周りを独立して締め上げる構造になっているからです。
これにより、例えば「足の甲は少し緩めにして、足首はしっかりホールドしたい」といった、ライダーごとの細かな好みに合わせた調整が実現します。滑り始める前はしっかり締め、リフトや休憩中はダイヤルを解放して一瞬で緩める、といった操作が可能なのは本当に楽ですよね。
このように、2つのBOAダイヤルがもたらす独立した締め分け機能は、一日中快適なライディングをサポートする上で非常に有効です。
初心者でも直感的に扱える手軽さと、理想のフィット感を追求できる機能性を両立しているのが、このブーツが高く評価される理由の一つと考えられます。
ソフトなフレックスで操作性も抜群
このブーツは、足首の自由度が高いソフトフレックス設計が特徴です。THIRTYTWOのラインナップの中でも特に柔らかい部類に入り、その硬さは10段階評価で「3」程度とされています。この柔軟性が、優れたボード操作性を生み出します。
ブーツが柔らかいということは、少ない力で足首を曲げ伸ばしできるということです。これは、ボードに力を伝えやすいことを意味し、特にスノーボードを始めたばかりの初心者にとっては、ターンのきっかけを掴む上で大きな助けとなります。
また、グラトリでプレス系の技を行う際には、この柔軟性がボードをしっかりとしならせ、スタイルを出す上で有利に働きます。
もちろん、高速でのカービングなど、強い力を必要とする場面では少し物足りなさを感じる可能性はあります。しかし、長時間のライディングでも足が疲れにくく、リラックスして滑りたい多くのユーザーにとって、このソフトなフレックスは大きなメリットとなるでしょう。
日本人の足型に合うフィット感
ブーツ選びで最も重要な要素の一つがフィット感ですが、STW DOUBLE BOAはその点でも高い評価を得ています。一般的に、THIRTYTWOのブーツは比較的幅広なラスト(足型)を採用していると言われており、甲高・幅広が多い日本人の足にも合いやすい傾向があります。
「海外ブランドのブーツは、幅が狭くて小指が痛くなる…」という経験がある方もいるかもしれませんが、このモデルではそうした悩みが解消されるケースも少なくありません。実際に履いてみると、まるでスニーカーのような自然な履き心地に驚かされることも。
さらに、後述する熱成形対応のインナーが、このフィット感をより完璧なものへと昇華させます。購入時には、必ず試着をして自分の足との相性を確認することが大切ですが、多くの日本人にとって快適な履き心地を提供してくれる可能性が高いブーツだと言えます。
熱成形対応のコンフォートフィットインナー
STW DOUBLE BOAには、自分の足の形に合わせてカスタマイズできる「コンフォートフィットインナー」が標準で搭載されています。これは、フィット感を劇的に向上させるための非常に重要な機能です。
熱成形とは、専用のオーブンなどでインナーを温め、その状態でブーツを履くことで、インナーがユーザーの足の形(くるぶしの位置や甲の高さなど)に変形し、冷えるとそのままの形で記憶される仕組みです。
もちろん、履き続けているうちに体温で少しずつ馴染んでいきますが、購入時に専門店で熱成形を行ってもらうことで、最初からオーダーメイドのような一体感を得られます。
これにより、ブーツ内部の不要な隙間がなくなり、滑走中の足のズレを最小限に抑えることができます。足がしっかり固定されることで、よりダイレクトなボード操作が可能になり、パフォーマンスの向上にも直結します。この価格帯で熱成形インナーが採用されている点は、大きなアドバンテージです。
軽量で動きやすいアウター構造
履いてみて、そして手に取ってみてすぐに感じられるのが、このブーツの驚くべき軽さです。THIRTYTWOは、独自開発した「STI Evolution Foam」という非常に軽量な素材をアウトソールに採用しており、業界でもトップクラスの軽量性を実現しています。
この軽さは、ライディングにおけるあらゆる場面でメリットとなります。例えば、リフトの乗り降りや、少しハイクアップする際の足の負担が全く違います。
滑っている時も、特にグラトリやジャンプで板を回す際の取り回しが軽快になり、トリックの成功率にも影響を与えるでしょう。
長時間滑っていると、ブーツの重さはじわじわと足の疲労に繋がってきます。その点、STW DOUBLE BOAの軽さは、一日中スノーボードを快適に楽しむための強力な武器となります。この軽快な履き心地は、一度体験すると他のブーツが重く感じてしまうほどです。
型落ちモデルとの違いと選び方
STW DOUBLE BOAは非常に人気が高く、長年にわたりリリースされ続けている定番モデルです。そのため、予算を抑えたい場合に「型落ちモデル」が選択肢に上がることがよくあります。
結論から言うと、このモデルはすでに完成度が高いため、数年前のモデルでも基本的な性能に大きな遜色はありません。毎年のアップデートは、カラーリングやデザインの変更、あるいはBOAダイヤルの形状やインナー素材のマイナーチェンジが中心となることが多いです。
したがって、最新の機能やデザインに強いこだわりがなければ、価格が手頃になる型落ちモデルは非常に賢い選択肢となります。
ただし、注意点として、あまりにも古いモデルは素材が経年劣化している可能性が考えられます。購入を検討する際は、性能の差と価格差を比較し、自分にとって最もコストパフォーマンスが高いと感じるものを選ぶのが良いでしょう。
THIRTYTWO・STW DOUBLE BOAのジャンル別評価
カービング | |
フリーラン | |
パウダー | |
グラトリ (弾き系) | |
グラトリ (乗り系) | |
ラントリ | |
キッカー (小〜中) | |
キッカー (中〜大) | |
ジブ |
このブーツがどのような滑りに向いているのか、より具体的に掘り下げていきましょう。ここでは、代表的なジャンルごとにその適性を評価します。
初心者におすすめできる理由とは
このブーツが多くの初心者に推奨されるのには、明確な理由があります。それは、上達に不可欠な「扱いやすさ」と「快適性」を高次元で両立しているからです。
前述の通り、ブーツのフレックスが柔らかいため、体重移動や膝の曲げ伸ばしといった基本的な動作が非常にやりやすく、少ない力でボードをコントロールする感覚を掴むのに役立ちます。これが、多くの初心者がつまずきがちな「連続ターン」を習得する上での大きなサポートとなります。
さらに、BOAシステムは、紐を結ぶ手間や力加減の難しさから解放してくれます。寒いゲレンデで分厚いグローブをしたまま、力の弱い女性でも簡単にブーツを締めることができる手軽さは、想像以上にストレスを軽減してくれます。
これらの点から、STW DOUBLE BOAは、スノーボードの楽しさを最大限に引き出し、スムーズな上達を促してくれる、まさに最初の一足として最適な選択肢の一つと考えられます。
フリーランでの快適な滑り心地
ゲレンデ全体を自由に滑り降りるフリーランにおいて、STW DOUBLE BOAは最高の相棒の一人になってくれます。特に、圧雪されたバーンをただ滑るだけでなく、コース脇の壁で遊んだり、ちょっとした地形でジャンプしたりといった「地形遊び」を取り入れた滑り方で真価を発揮します。
その理由は、ブーツの軽さと柔らかさにあります。軽量なブーツは足の疲れを大幅に軽減し、一日中滑り続けるスタミナを維持するのに貢献します。また、ソフトなフレックスは、荒れた雪面からの細かな振動を吸収し、快適な乗り心地を提供してくれるでしょう。
ただし、デメリットも存在します。アイスバーンやハイスピードでのカービングにおいては、ブーツのホールド力にやや物足りなさを感じ、エッジが抜けてしまうような不安感を覚えるかもしれません。スピードを追求する滑りよりも、ゲレンデを遊び場として捉え、リラックスして楽しむフリーランスタイルに、このブーツは最も適していると言えます。
グラトリの自由度を高める柔軟性
グラウンドトリック、通称グラトリを楽しむ上で、STW DOUBLE BOAの柔軟性は大きな武器となります。特に、板をしならせて行う「プレス系」のトリックでは、その性能を遺憾なく発揮するでしょう。
圧倒的な足首の自由度により、ノーズやテールにしっかりと体重を乗せることができ、低く安定した姿勢でのプレスが可能になります。
これにより、トリックの完成度とスタイルが格段に向上します。僕も実際にやってみましたが、足首が動かしやすいだけで、こんなに板を踏めるのかと驚きました。
一方で、ノーリーやオーリーといった「弾き系」のトリックにおいては、ブーツの柔らかさが反発力を少しロスさせてしまう感覚があるかもしれません。より高く、より速く回転したい上級者には、もう少し硬さのあるモデルが向いている場合もあります。
以上の点を踏まえると、このブーツは乗り系のトリックでスタイルを追求したいグラトリユーザーにとって、最高の選択肢の一つとなります。
ジブで求められる足首の自由度
ボックスやレールといった人工物を滑るジブにおいても、STW DOUBLE BOAの評価は非常に高いです。ジブでは、シビアなバランス感覚と、アイテムに合わせた繊細なボードコントロールが求められますが、このブーツの特性がそれらの動きを強力にサポートします。
ブーツの柔軟性は、アイテムの上でバランスを取る際に、足首を使って細かな調整を行うことを容易にします。
また、ボードスライドのように体を大きくひねる動きでも、ブーツが足の動きを妨げることがありません。さらに、万が一バランスを崩してしまった際にも、柔らかいブーツが衝撃をいなしてくれるため、ケガのリスクを低減する効果も期待できます。
アウトソールの足裏感覚が良いこともジブでのメリットです。ボードから伝わる情報を感じ取りやすく、より直感的な操作が可能になります。これらのことから、ジブをメインで楽しむパークライダーにとって、このブーツは非常に魅力的な選択肢であることは間違いありません。
パークでのアイテム攻略のしやすさ
パークライディング全般、特に中小サイズのキッカーや各種アイテムで遊ぶ際にも、このブーツは優れたパフォーマンスを見せてくれます。
5m程度のいわゆる「ポコジャン」と呼ばれるようなキッカーでは、ブーツの軽さがスピンのきっかけを作りやすく、柔軟性がグラブのスタイルを出しやすくしてくれます。着地の衝撃吸収性も高いため、安定してアイテムを攻略していくことができるでしょう。
ただし、注意すべきは大きなサイズのキッカーです。10mを超えるような中〜大キッカーに挑戦する場合、アプローチから着地までにかかる強いGに対して、ブーツのホールド力が不足する可能性が高いです。
着地で足がブーツの中でぶれてしまい、バランスを崩したり、最悪の場合は怪我に繋がったりするリスクも考えられます。
要するに、ビッグエアを狙うコンペティターや上級者には不向きですが、仲間と楽しく流しながらパークを遊び尽くす、といったスタイルには十分すぎるほどの性能を備えています。
THIRTYTWO・STW DOUBLE BOAの最終評価まとめ
この記事では、THIRTYTWO STW DOUBLE BOAのスペックからジャンル別の適性までを詳しく解説してきました。最後に、本記事の要点をまとめます。
- 2つのBOAダイヤルで簡単かつ最適なフィット感を実現
- 足の甲と足首周りを独立して締め分け可能
- 初心者でも直感的に扱えるシンプルな操作性
- 10段階中「3」程度のソフトなフレックス設計
- 少ない力でボードを操作でき上達をサポート
- グラトリやジブで求められる足首の自由度が高い
- 多くの日本人の足に合いやすい幅広めのラスト
- 自分の足型に成形できるコンフォートフィットインナーを搭載
- 業界トップクラスの軽量性を誇るアウター構造
- 長時間のライディングでも疲れにくい
- 型落ちモデルはコストパフォーマンスが高い選択肢
- フリーランや地形遊びとの相性が抜群
- 特にプレス系のグラトリで真価を発揮
- 中小サイズのキッカーやパークアイテムに適している
- 高速カービングやビッグキッカーには不向き





