【ROME】TRACE PROは硬い?評価で分かる最適な滑りとユーザー像

まさやん
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ROME「TRACE PRO」は高いレスポンス性能で注目されるこのビンディングですが、実際のところ自分の滑りに合うのか、迷っている方も多いかと思います。

特に、カービングやフリーランでの性能、あるいはパウダーやラントリ、グラトリといった多様なスタイルとの相性は気になるところです。また、キッカーやジブなどのパークでの使用感について知りたいメンズライダーもいるでしょう。

この記事では、TRACE PROが持つテクノロジーやスペックを一つひとつ丁寧に分析し、どのような滑りに強みを発揮するのかを多角的に評価していきます。ビンディング選びで後悔しないために、客観的な情報をもとに、その性能とあなたとの相性を見極めていきましょう。

この記事を読むことで、以下の点が明確になります。

  • ROME TRACE PROに搭載された最新技術と詳細なスペック
  • カービングやフリーランといった得意ジャンルでの具体的な性能
  • グラトリやパークなど、他のスタイルへの適応性
  • 購入前に知っておきたいメリットと注意点

ROME・TRACE PROのテクノロジーに対する評価

ROME TRACE PROの真価を理解するには、まずその心臓部であるテクノロジーとスペックを把握することが欠かせません。ここでは、このビンディングが持つレスポンスと快適性の秘密を、具体的なデータと共に解き明かしていきます。

項目詳細
対象メンズ
サイズ展開M/L (25.5cm~28.0cm), L/XL (28.5cm~30.5cm) ※ブーツブランドにより要確認
硬さ (Flex)8 / 10 (硬め)
重さ (Weight)6 / 10 (標準的)
締め付け力 (Power)9 / 10 (非常に高い)

硬めのフレックスがもたらす高いレスポンス

ROME TRACE PROの最大の特徴は、10段階中8という硬めのフレックス設定にあります。この硬さが、ライダーの力をロスなくボードに伝え、高速域での安定性と鋭いターンレスポンスを生み出す源泉となっています。

具体的には、ハイスピードでカービングターンを行う際に、エッジへの加重が素早く正確に伝わるため、ターンがブレにくく、キレのある滑走が可能です。ボードを少し傾けただけでもビンディングがしっかりと反応してくれるので、自分が思い描いた通りのラインをトレースしやすくなる感覚があります。

ただし、この硬さはデメリットにもなり得ます。例えば、低速域での細かなボードコントロールや、トリックの柔軟な動きを求めるグラトリなどには、やや過剰な反応と感じられるかもしれません。そのため、主にスピードを重視するフリーランやカービングを得意とするライダーにとって、このフレックス設定は強力な武器になると考えられます。

レスポンスの要となるカーボン配合ハイバック

前述の高いレスポンス性能を支えているのが、カーボンを配合したハイバックです。軽量でありながら非常に剛性が高いカーボンを素材に使うことで、ハイバックのねじれを抑制し、バックサイドターン(かかと側のターン)でのパワー伝達性能を極限まで高めています。

実際に体重をかけてみると、一般的なナイロン素材のハイバックに比べて、たわみが少なく、入力した力がダイレクトにボードのエッジに届くのが感じられます。これにより、荒れたバーンやアイスバーンといったシビアなコンディションでも、エッジが抜けにくく、安定した滑りをサポートしてくれるでしょう。

一方で、カーボン特有の硬さは、遊びのある動きやルーズな滑り心地を好むライダーには不向きな側面もあります。あくまでも、精密なボードコントロールとレスポンスを最優先する設計思想の表れと言えます。

auxtech採用のトゥストラップがもたらすフィット感

トゥストラップには、ROMEが誇る「AuxTech®」という技術が採用された「ProGrip Toe Strap」が搭載されています。これは、小さなヒンジ(蝶番)が連結したような独特のパターンが特徴で、力を加えるとストラップ全体が均一に伸びてブーツのつま先を包み込みます。

従来のストラップが「線」で押さえる感覚だとすれば、AuxTech®は「面」でホールドする感覚に近いです。

これにより、一点に圧力が集中することを防ぎ、痛みや痺れを軽減しながら、驚異的なホールド感を実現しています。ブーツとビンディングの一体感が高まることで、つま先側のエッジコントロールもより繊細に行えるようになります。

このフィット感は、どんなブーツ形状にも追従しやすいため、ブーツとの相性問題が出にくいというメリットもあります。

快適なホールド感を生むプロフレックスアンクルストラップ

アンクルストラップにも、同じくAuxTech®技術が用いられた「ProFlex Ankle Strap」が採用されています。こちらはトゥストラップほどの硬さはなく、快適性とホールド感のバランスを重視したミディアムなフレックスに設定されています。

高速滑走中の強いG(遠心力)がかかった状態でも、足首がブレないようにしっかりとサポートしつつ、柔軟性も併せ持っているのが特徴です。この絶妙なバランスにより、パワーを伝えたい場面では剛性を発揮し、少しスタイルを出したい動きでは柔軟に対応してくれます。

実際に締め付けてみると、足首全体を均一な力で包み込むような感覚があり、長時間ライディングしても疲れにくい印象です。締め付けによる圧迫感が少ないため、血流が阻害されにくく、快適なライディングを一日中サポートしてくれるでしょう。

衝撃吸収性に優れたDuraCushサブベース

足元のベースプレート下には、「DuraCush™」と呼ばれる衝撃吸収素材が配置されています。これは、着地の衝撃や高速滑走中に発生するボードの微振動を効果的に吸収するための機能です。

特に、キッカーからの着地や、春先の荒れたザクザクの雪を滑る際には、このDuraCush™が足への負担を大幅に軽減してくれます。振動吸収性が高いことで、ボードのバタつきが抑えられ、結果として安定した滑走につながります。

また、衝撃吸収だけでなく、ボードのフィーリングをライダーに伝えやすくする役割も担っています。分厚いゴムで完全に振動を消し去るのではなく、必要な情報だけを残して不要な振動を取り除くような、洗練された設計がなされています。

自然な姿勢を維持するカントの役割

ベースプレートには「カント」と呼ばれる、内側から外側に向かって傾斜がつけられています。これにより、ビンディングに足を置いた際に、膝が自然に内側に入りやすくなり、よりパワフルで安定したスタンスを取ることが可能です。

カントがあることで、両足の幅を広く取った際にも、足首や膝への負担を軽減する効果が期待できます。特にカービングで深くボードを倒し込むような場面では、このわずかな傾斜が、より効率的なパワー伝達と安定感のあるライディング姿勢をサポートしてくれます。

人によってはカントがないフラットなビンディングを好む場合もありますが、TRACE PROのようなレスポンス重視のモデルにおいては、力を最大限に引き出すための重要な機能の一つと考えられます。

脱着を効率化するファストエントリー機能

リフトを降りてから滑り出すまでの時間を少しでも短縮したい、というのは多くのスノーボーダーが思うことです。TRACE PROには、ストラップの装着をスムーズにするための「ファストエントリー」テクノロジーが搭載されています。

これは、ラチェットを解放するとストラップが自動的に外側へ大きく開くように設計されている機能です。これにより、ブーツを出し入れする際にストラップが邪魔になりにくく、素早い装着が可能になります。特に座って装着する際に、この機能のありがたみを感じることが多いです。

小さな機能改善に見えるかもしれませんが、一日に何度も繰り返す脱着作業がストレスフリーになることは、ライディング全体の快適性を向上させる上で非常に大きなメリットと言えます。

得意なジャンルから見るROME・TRACE PROの評価

テクノロジーを理解した上で、次に気になるのは「結局、どんな滑りに向いているのか?」という点でしょう。ここでは、TRACE PROの性能を具体的な滑走ジャンルに当てはめて、その得意・不得意を客観的に評価します。

ジャンル評価 (5.0満点)
カービング
フリーラン
パウダー
グラトリ(弾き系)
グラトリ(乗り系)
ラントリ
キッカー(小~中)
キッカー(中~大)
ジブ

カービングで活きるプロトコンタクトストラップ

TRACE PROは、カービングにおいてその性能を最大限に発揮します。評価が5.0満点なのは、このビンディングの設計思想そのものが、ハイスピードカービングに最適化されているためです。

特に、前述の「プロトコンタクトストラップ(ProGrip Toe Strap)」が重要な役割を果たします。AuxTech®による優れた追従性が、ブーツとビンディングの一体感を極限まで高め、トゥサイド(つま先側)のターンでエッジに力を伝達する際のわずかなロスさえも許しません。ボードを立てていく過程で、つま先の動きがリニアにボードへ伝わるため、非常に精密なコントロールが可能です。

硬いフレックスとカーボンのハイバックがバックサイドターンを、そしてこのプロトコンタクトストラップがトゥサイドターンを完璧にサポートすることで、どんな斜面でも自信を持って攻められるカービングマシンが完成します。

フリーランでのハイバックローテーションの効果

ゲレンデの圧雪バーンを気持ちよく流すフリーランにおいても、TRACE PROは最高のパートナーになります。評価が5.0と高い理由は、ただ速く滑れるだけでなく、一日中快適に滑り続けられる工夫が凝らされているからです。

その一つが「ハイバックローテーション」機能です。これは、ハイバックの角度を、ボードのヒールエッジ(かかと側のエッジ)と平行になるように調整できる機能です。これにより、バックサイドターン時にハイバック全体で力を受け止められるようになり、より効率的なパワー伝達が可能になります。

また、自分のスタンス角度に合わせてハイバックを調整することで、無理のない自然な姿勢を保ちやすくなります。この細かな調整が、長時間のライディングにおける疲労を軽減し、フリーランの質を向上させてくれるのです。DuraCushによる振動吸収性も相まって、ゲレンデのあらゆる状況を快適にクルージングできるでしょう。

高速フリーランやパウダーでの安定性能

TRACE PROの真価は、整地されたバーンだけに留まりません。パウダーでの評価が4.0と高いのは、その優れた安定性とコントロール性能が非圧雪エリアでも活きるためです。

パウダーライディングでは、ボードを沈ませないための浮力と、雪の中での的確な操作性が求められます。TRACE PROの硬いフレックスとレスポンスの良さは、新雪の中でもボードをコントロールしやすく、行きたい方向へスムーズに導いてくれます。特に、ツリーランのように素早い切り返しが必要な場面で、その反応の良さがアドバンテージになります。

ただし、フレックスが硬いため、パウダーでのサーフライクな、より自由度の高い動きを求めるライダーには、少し硬すぎると感じられるかもしれません。あくまでも、スピードに乗ったパウダーライディングを得意とするセッティングと言えます。

グラトリやラントリにおける操作性

グラトリやラントリといった、板のしなりやねじれを積極的に使うスタイルとの相性は、正直なところあまり良くありません。グラトリの評価が低いのは、TRACE PROの硬いフレックスが、トリックに必要な柔軟な動きを妨げてしまう可能性があるためです。

例えば、プレス系のトリック(板のノーズやテールを雪面に押し付ける動き)では、ビンディングが硬いために足首の自由度が低く、板をしならせるのが難しく感じることがあります。また、弾き系のトリックでも、レスポンスが良すぎることが、かえってタイミングのシビアさにつながる場合があります。

もちろん、全くできないわけではありませんが、グラトリやラントリをメインに楽しみたいのであれば、よりフレックスの柔らかいモデルを選択する方が、上達への近道になる可能性が高いと考えられます。

パークやキッカーでのパフォーマンスは?

パークやキッカーにおける評価は、アイテムのサイズによって大きく異なります。

中~大サイズのキッカー

中サイズから大サイズのキッカーでは、評価が4.5と非常に高くなります。アプローチ(助走)での高い直進安定性、そして着地時の衝撃をしっかりと受け止める剛性とDuraCushの衝撃吸収性が、ビッグジャンプにおいて絶大な安心感をもたらします。レスポンスの良さが、空中に飛び出す瞬間の繊細なボードコントロールを可能にし、安定したエアを実現します。

小サイズのキッカーやジブ

一方で、小さなキッカーやジブでの評価は低くなります。これは、グラトリと同様に、硬いフレックスが細かな動きやスタイルを出しにくくするためです。特にジブでは、ボードをアイテムに擦り付ける際の柔軟な動きが求められるため、TRACE PROの硬さは扱いづらさにつながります。パークを流しながら、いろいろなアイテムで遊びたいというスタイルには、あまり向いていないと言えるでしょう。

賢く購入するなら型落ちモデルも視野に

ROME TRACE PROはハイエンドモデルに位置するため、価格もそれなりにします。そこで賢い選択肢となるのが、「型落ちモデル」を狙うことです。

スノーボードギアは毎年新しいモデルがリリースされますが、ビンディングのような製品は、数年単位で大きなモデルチェンジが行われることが多く、年式が1〜2年違うだけでは基本性能に大きな差がない場合も少なくありません。デザインやカラーリングの変更のみ、というケースもよくあります。

シーズン終わりや、次のシーズンの始まり前などに、前シーズンのモデルがセール価格で販売されることがあります。

もちろん、最新のテクノロジーにこだわりたい場合は現行モデルがベストですが、少しでもコストを抑えたいのであれば、型落ちモデルをチェックしてみる価値は十分にあります。

総括:ROME TRACE PROの総合的な評価

この記事を通じて、ROME TRACE PROの多面的な性能を解説してきました。最後に、このビンディングに関する重要なポイントをまとめます。

  • ROME TRACE PROはメンズ向けのハイレスポンスビンディング
  • フレックスは10段階中8の硬めの設定
  • 高速滑走時の安定性と鋭いレスポンスが最大の特徴
  • カービングやハイスピードのフリーランで最高の性能を発揮
  • 評価はカービングとフリーランで満点の5.0
  • カーボン配合のハイバックが強力なパワー伝達を実現
  • AuxTech採用のストラップが優れたフィット感とホールド感を提供
  • ProGripトゥストラップがブーツとビンディングの一体感を高める
  • DuraCushサブベースが衝撃と振動を効果的に吸収
  • ベースプレートのカントが自然でパワフルなスタンスを補助
  • ハイバックローテーションで滑りに合わせた微調整が可能
  • 中〜大サイズのキッカーでは高い安定性で高評価
  • パウダーライディングでもコントロールしやすく高評価
  • 一方でグラトリやジブ、ラントリには不向き
  • コストを抑えたいなら型落ちモデルも有効な選択肢
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まさやん
まさやん
フリーランス歴5年の横乗りライダー。ブログ運営・コンサルティングを生業として活動中。冬はスノーボード、夏はスケートボードたまにSUPを楽しんでいます。スノーボードは年間30~50日ほど滑走。ホームは中国地方。冬には数週間単位で長野・北海道に生息。SnowboardHack運営者。
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