【BATALEON】Turboの評価は?上級者のカービング・キッカー専用機
BATALEONの板といえば、独自の3BT(Triple Base Technology)が有名ですが、その乗り心地や特性はモデルによって大きく異なりますよね。特に「Turbo」はラインナップの中でも異彩を放つモデルです。
「BATALEONの板は種類が多くて違いが分かりにくい」「3BTは逆エッジになりにくいって本当?デメリットはないの?」「フリーランやカービングの評価が知りたい」「パウダーやグラトリにはどうなの?」といった疑問を持っているかもしれません。
この記事では、BATALEON Turboに焦点を当て、そのスペックと性能を客観的に分析し、どのような滑りに最適なのかを詳しく解説していきますね。この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
- BATALEON Turboが持つ独自の構造と技術的な特徴
- フレックスやシェイプがライディングにどう影響するか
- フリーランやカービングなど滑走性能の具体的な評価
- パウダーやパークといった特定ジャンルでの適性
BATALEON「Turbo」のスペック面での評価
まずは、Turboがどのような板なのか、基本的なスペックを見ていきましょう。このボードの個性を理解する上で、非常に大切な部分ですね。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| シェイプ | Directional Twin (ディレクショナルツイン) |
| 形状 (プロファイル) | Medium Camber + 3BT (Freestyle 3BT) |
| フレックス (10段階) | 9 (Stiff / 非常に硬い) |
| コア | Ultra Light Core (Paulownia 70% / Poplar 30%) |
| グラスファイバー | Tri-Ax Lamination (3軸) |
| ベース素材 | Ultra Glide S (Sintered 7000-grade) |
| テクノロジー | SideKick™, SuperTubes™ (D.S.T.), Carbon Stringers, Flex Walls |
| 推奨レベル | 上級者 (Advanced) |
独自の3BT(Triple Base Technology)
BATALEONの代名詞とも言えるのが、この3BT(Triple Base Technology)ですね。これは、スノーボードのソール(滑走面)を3つの面に分けるという独自の技術です。
具体的には、ボードのセンター部分はフラットな「センターベース」で、両サイドのエッジ側(ノーズとテール)が船底のように少し持ち上がった「サイドベース」になっています。
この構造がもたらす最大のメリットは、エッジの引っかかりにくさ、つまり「逆エッジ」のリスクを大幅に軽減できる点にあります。フラットな雪面で直滑降している時や、着地の瞬間など、エッジが意図せず雪面に食い込むのを防いでくれるんですね。
Turboに採用されているのは「Freestyle 3BT」というタイプで、センターベースとサイドベースの幅が均等に設計されています。これにより、フリースタイルな動きに対応しつつ、安定した直進性も確保しているのが特徴です。
SideKickがもたらす操作性
SideKick(サイドキック)は、前述の3BTをさらに進化させた技術と言えます。これは、ノーズとテールの最も幅が広い部分(ワイドポイント)から、さらにサイドベースの持ち上がり(アップリフト)を劇的に高める機能です。
このSideKickがあることで、ボードが雪面にコンタクトする際の挙動が非常にスムーズになります。
SideKickの主な利点
- ターン導入の容易さ: ボードを傾け始めると、持ち上がったエッジが雪の抵抗を受け流し、非常に滑らかにターンに入ることができます。
- パウダーでの浮力向上: ノーズ部分がスプーンのように雪を持ち上げ、パウダーでの浮力を自然に生み出してくれます。
- 不整地での走破性: 春先の荒れた雪や、凹凸のあるバーンでも、エッジが引っかかりにくいため、安定して滑り抜けることが可能です。
3BTとSideKickの組み合わせが、BATALEON独自の「引っかかりにくく、スムーズな」乗り心地を生み出しているわけですね。
採用されているキャンバー構造
Turboは、BATALEONのラインナップの中でも強力な「Medium Camber」を採用しています。(※一部販売店では「High Camber」と表記されることもあるほど、反発力の強いキャンバーです)
これは、ボードの中央部分が大きく盛り上がった、いわゆる伝統的なキャンバー形状です。このキャンバーが強いほど、ボードは「しなり」と「反発」を強く持ちます。
Medium Camber(強めのキャンバー)の特性
- 強力なエッジホールド: ボードを踏み込むと、キャンバーが雪面に対して強い圧力を生み出し、特にアイスバーンなどで圧倒的なグリップ力を発揮します。
- 高いオーリーパワー: しなったボードが元に戻ろうとする力(反発)が非常に強いため、ジャンプの際に高いエアを生み出すことができます。
ただし、この強いキャンバーは、性能を引き出すために相応の脚力と技術を要求します。3BTがエッジの引っかかりを軽減してくれるとはいえ、ボードの「芯」をしっかりと踏み抜けないと、ただの硬い板になってしまう可能性も秘めています。
フレックスの硬さと特徴
Turboの最大の特徴の一つが、そのフレックスです。公式サイトの10段階評価で「9」という、ラインナップでもトップクラスの硬さを誇ります。
この「9」という数値は、生半可なレベルではありません。高速域での安定性を極限まで高め、プロライダーがビッグキッカーやハイスピードのフリーランでボードの限界性能を引き出すために設定されています。
この硬さを実現するために、コアには軽量で反発の強い「Ultra Light Core」を使用し、さらに「Tri-Ax Lamination」(3軸グラスファイバー)や「Carbon Stringers」(カーボンストリンガー)、そして中空カーボンチューブ「SuperTubes™」を搭載して、ねじれ(トーション)と反発(ポップ)を極限まで強化しています。
フレックス9がもたらす影響
- メリット: 高速滑走時の圧倒的な安定性、バタつきのなさ。キレのあるカービング。ジャンプ着地時の安定感。
- デメリット: 低速域での操作が難しい。しならせることが困難なため、グラトリやジブには全く向かない。乗り手の技術と脚力を選ぶ。
このボードは、まさに「ターボ」の名にふさわしく、ハイスピードで攻めるためのマシンと言えるでしょう。
シェイプとボードの走り
シェイプは「Directional Twin」(ディレクショナルツイン)を採用しています。
これは、ボードの形状自体は前後対称(ツインチップ)に見えますが、ビンディングのインサートホール(取り付け位置)が少しだけ後ろ寄り(セットバック)に設定されているか、内部構造で進行方向への性能を高めているシェイプです。
Turboの場合、スタンス(足の位置)は中央に設定しても、ノーズとテールの構造が進行方向に対して最適化されています。これにより、スイッチ(逆向き)での滑走性能を維持しつつ、前方向へのフリーランやカービングでの安定性、走破性を高めています。
また、滑走面(ベース)には「Ultra Glide S」という高品質なシンタード(焼結)ベースが使われています。これは非常に硬く、ワックスの保持能力が高い(=ワックスがよく染み込む)ため、しっかりとメンテナンスをすれば驚異的な滑走性能を発揮します。
BATALEON「Turbo」のジャンル別での評価
スペックが分かったところで、次にこのTurboが実際の滑り、特に各ジャンルでどのような評価になるのかを解説していきますね。
| ジャンル | 評価 (5.0点満点) |
|---|---|
| カービング | |
| フリーラン (高速) | |
| パウダー | |
| グラトリ (弾き系) | |
| グラトリ (乗り系) | |
| ラントリ | |
| キッカー (小〜中) | |
| キッカー (中〜大) | |
| ジブ |
フリーランでの滑走性能
Turboの性能が最も輝くシチュエーションの一つが、ハイスピードでのフリーランでしょう。フレックス9の剛性と強力なキャンバーが、どんなに荒れたバーンや硬い雪面でもボードのバタつきを一切許しません。
まさにゲレンデを切り裂くように滑る、という表現がぴったりかもしれません。3BTとSideKickのおかげで、高速域でのターン導入もスムーズ。エッジが引っかかる不安が少ないため、より大胆にスピードを追求できます。
ただし、前述の通り、この性能は高速域で発揮されるものです。ダラダラと低速で流すような滑り方では、ボードの硬さだけが際立ってしまい、操作が重く感じる可能性があります。
このボードのポテンシャルを引き出すには、常に攻めの姿勢が求められる、と言えそうですね。
カービングのキレと安定性
カービング性能については、文句なしの最高評価です。
強力なキャンバーと硬いトーション(ねじれ剛性)、そして3BTのセンターベースがしっかりと雪面を捉え、レールに乗っているかのような安定したカービングターンが可能です。
ターン中にボードを踏み込むと、サイドウォールに採用された「Flex Walls」(ウレタン素材)が振動を吸収し、さらに安定感を高めてくれます。
3BTはエッジが甘くなるのでは?と心配する声もあるかもしれませんが、Turboに関しては全くの別物です。
一度エッジが雪面に食い込めば、ディレクショナルツインのシェイプと強力なキャンバーが、ターン後半までしっかりとボードを「立てる」ことをサポートしてくれます。
むしろ、ターンの導入が3BTによってスムーズな分、よりアグレッシブなエッジングが可能になると考えられます。
パウダーにおける浮力
パウダーでの性能は、専門のパウダーボードには劣るものの、十分な浮力を発揮してくれると考えられます。
その理由は、もちろん3BTとSideKickです。ノーズの船底形状が雪をかき分け、スプーンのように雪の上に浮かび上がろうとする力を生み出します。
ディレクショナルツインでセットバックも大きくないため、何もしなくても浮く、というよりは、しっかりと後ろ足に加重したり、スピードを維持したりすることで性能を発揮するタイプでしょう。
フレックスが非常に硬いため、パウダーの中でしなやかに操作するというよりは、スピードで突き抜けていくような滑り方に向いているかもしれませんね。
パークライドの適性
パークでの適性は、アイテムによって評価が真っ二つに分かれます。
キッカー(ジャンプ)
Turboが最も得意とする場所の一つです。特に中〜大サイズのキッカー(ビッグエア)においては、その性能が最大限に発揮されます。
強力なキャンバーとカーボンによる反発力(ポップ)は、アプローチでの安定感と、踏み切りでの高さを生み出します。
そして何より、フレックス9の硬いボディが、高さのあるジャンプからの着地(ランディング)を完璧にサポートしてくれます。着地の衝撃でボードが負けることはまずないでしょう。
ジブ(レール、ボックス)
一方で、ジブアイテムへの適性は最低レベルです。フレックス9の板でレールやボックスに入るのは、非常に困難です。ボードをしならせてアイテムに「乗せる」ことができないため、お勧めできません。
グラトリはやりやすいか
グラトリ(グラウンドトリック)についても、パークのジブと同様の評価になります。
乗り系・プレス系
「乗り系」と呼ばれる、ボードをしならせて滑るプレス系のトリックは、フレックス9の硬さではほぼ不可能と考えた方が良いでしょう。
弾き系・ラントリ
「弾き系」と呼ばれる、オーリーやノーリーなどの反発を使ったトリックについては、ボードのポテンシャル自体は最高レベルです。 前述の通り、強力なキャンバーとカーボンが凄まじい反発を生み出します。
ただし、その反発を100%引き出すには、相当な脚力でボードを踏み抜く必要があります。中途半端な力ではボードがしならず、高さが出ません。
また、3BTの特性上、エッジではなく「面」で弾く感覚を掴む必要があり、ラントリ(ランしながらトリック)を含め、かなりの上級者向けと言えますね。
総括:BATALEON「Turbo」の評価ポイント
最後に、この記事で解説したBATALEON Turboの重要なポイントをまとめます。
- BATALEON Turboは上級者向けのハイパフォーマンスモデル
- フレックスは10段階中9で非常に硬い設定
- 形状は強力なキャンバーとディレクショナルツイン
- 独自の3BTとSideKickが逆エッジを軽減
- 3BTはFreestyle 3BTを採用し安定性と操作性を両立
- コアは軽量で高反発なUltra Light Core
- カーボンやSuperTubesで反発と剛性を極限まで強化
- ベースは非常に高速なUltra Glide S(シンタード)
- 得意分野は高速フリーランとカービング
- 荒れたバーンでもバタつかない圧倒的な安定性
- パークでは中〜大キッカーで最高の性能を発揮
- 着地の安定感は抜群
- パウダーでも3BTにより一定の浮力を確保
- グラトリやジブ、低速での操作には全く向かない
- ボードの性能を引き出すには高い技術と脚力が必要



























