【NITRO】TEAM PROの評価は高機能なプロ仕様なモデル!パークからパウダーまで何でもOK!

NITROのラインナップの中でも、特にパフォーマンスを重視するスノーボーダーから絶大な支持を集めるTEAM PRO(チームプロ)。このプロモデルについて、「自分の滑りに本当に合うのだろうか?」と評価を探している方も多いのではないでしょうか。
この板は、ただ硬いだけでなく、その奥にある反発力や安定性が大きな魅力です。主にパークでのジャンプや、キレのあるカービングを得意とする上級者向けのオールラウンドボードとして知られています。しかし、その高性能さゆえに、全てのライダーにとって最適な選択とは限りません。
この記事では、NITRO「TEAM PRO」の評価について、基本的なスペックから得意なジャンル、そして注意点までを深く掘り下げていきます。
- TEAM PROの具体的なスペックとテクノロジー
- キッカーやカービングなど得意なライディングスタイル
- グラトリやパウダーなど少し苦手とするジャンル
- 購入前に知っておきたいメリットと注意点
【NITRO】TEAM PROのスペックに対する評価
対象 | メンズ・レディース |
形状 | キャンバー |
シェイプ | ディレクショナルツイン |
ボードの硬さ | 10段階中7(硬め) |
対象レベル | 中級者から上級者 |
サイズ | 152,155,157,159,159W,162W |
形状の基本となるトゥルーキャンバー
NITRO「TEAM PRO」の乗り味を決定づける最も重要な要素は、その形状にあります。このモデルは、伝統的かつ信頼性の高い「トゥルーキャンバー」を採用しています。
トゥルーキャンバーとは、板の中央部分が雪面から浮き上がっているアーチ状の構造のことです。この形状のおかげで、エッジを雪面にしっかりと食い込ませることができ、特に圧雪されたバーンでのターンやカービングにおいて、抜群のエッジホールド性能を発揮します。
また、板に圧をかけると、そのアーチが反発しようとする力が生まれます。これがオーリーやジャンプの際に、力強いポップ感(踏み切りの反発)を生み出す源泉となります。したがって、トゥルーキャンバーは、キレのある滑りと高いジャンプを求めるライダーにとって、非常に理にかなった形状と言えます。
一方で、キャンバー形状はエッジが引っかかりやすいという側面も持ち合わせています。そのため、逆エッジのリスクが比較的高い形状であり、乗りこなすにはある程度のスキルが求められます。
レスポンスに直結する板の硬さ
NITRO「TEAM PRO」は、ライダーの力をダイレクトに雪面へ伝えるため、硬めのフレックスに設定されています。NITROの公式フレックス評価では10段階中「8」となっており、これはラインナップの中でもかなり硬い部類に入ります。
この硬さがもたらす最大のメリットは、高速域での安定性とレスポンスの良さです。ハイスピードで滑走しても板がバタつくことが少なく、ライダーの意図した通りに素早く反応してくれます。カービングで深いターンを描いたり、大きなキッカーでアプローチしたりする際に、この硬さが安心感とパフォーマンスの高さを提供します。
しかし、この硬さはデメリットにもなり得ます。例えば、低速での細かい操作や、板をしならせて行うグラトリのプレス系の技は、相応の脚力がないと難しく感じられるでしょう。
これからスノーボードを始める初心者や脚力に自信のない方にとっては、板をうまくコントロールできず、扱いにくいと感じる可能性が高いです。
要するに、この板の硬さは、ハイスピードでのパフォーマンスを最大限に引き出すためのものであり、その恩恵を受けるには中級以上の滑走スキルが前提となります。
高い反発力がもたらすポップ感
NITRO「TEAM PRO」が「PRO」の名を冠する理由の一つに、その卓越した反発力が挙げられます。この高い反発力、いわゆるポップ感は、オーリーやジャンプの高さを直接的に左右する重要な要素です。
この反発力を生み出しているのが、NITRO独自のテクノロジーです。コア(芯材)には、軽量でありながら強度と反発性に優れた「POWERLITE CORE」が使用されています。
さらに、反発力を増強するために「DIAMOND BAND」と呼ばれるカーボンファイバーの補強材が搭載されています。これにより、板を踏み込んだ際に蓄えたエネルギーを効率よく解放し、爆発的な高さを生み出すことが可能になります。
例えば、パークのキッカーでリップを蹴る瞬間や、フリーラン中に地形でジャンプする際に、このポップ感が絶大なアドバンテージとなります。少ない力で高く飛べるため、空中でのトリックに余裕が生まれ、パフォーマンスの向上に直結します。
このように、NITRO「TEAM PRO」の反発力は、アグレッシブに攻めるライダーの要求に応えるためのプロ仕様のチューニングと言えます。
スイングウェイトに関わる板の重さ
NITRO「TEAM PRO」の重さについては、超軽量モデルというわけではありません。しかし、これは意図的な設計の結果と考えられます。板にある程度の重量を持たせることで、滑走時の安定性を高め、荒れたバーンやハイスピードの中でもブレにくいというメリットが生まれます。
スイングウェイト、つまり板を回転させる際の振り心地に関しては、最新のモデルではコアの厚みを部分的に調整する「REFLEX CORE PROFILE」が採用されています。これにより、足元のフレックスはしなやかに保ちつつ、不要な重量を削減し、回転系のトリックでも比較的扱いやすいバランスを実現しています。
もちろん、市場にはより軽量なグラトリ専用ボードも存在しますが、TEAM PROはあくまで高速域での安定性と両立させることを目指しています。そのため、軽さだけを追求するのではなく、キッカーでの安定したアプローチやカービングでのどっしりとした乗り味を重視した結果の重量設定だと言えるでしょう。
高速滑走時における抜群の安定性
前述の通り、NITRO「TEAM PRO」が最も得意とする領域の一つが高速滑走です。その抜群の安定性は、複数の要素が組み合わさることで実現されています。
第一に、硬めのフレックス設定が挙げられます。板が硬いため、高速で滑走した際に発生する雪面からの振動や衝撃で板がブレる(バタつく)現象を効果的に抑制します。
第二に、トゥルーキャンバー形状です。接雪長が長く、有効エッジが雪面をしっかりと捉えるため、直進安定性が非常に高くなります。ターン中もエッジが抜けにくく、ライダーは安心して板に体重を預けることが可能です。
そして第三に、高品質なソール素材の採用があります。TEAM PROには、非常に滑走性能の高い「SINTERED SPEED FORMULA II BASE」というシンタードベースが使われています。このソールはワックスの浸透性が高く、しっかりとメンテナンスをすることで、どんな雪質でも優れたスピードと滑走性を維持し、安定した滑りをサポートします。
これらの理由から、TEAM PROはスピードを出して滑ることに喜びを感じるライダーや、大会に出場するような競技者にとって、信頼できる相棒となります。
軽快な取り回しを支える操作性
硬くて安定性が高い板と聞くと、操作性が犠牲になっているのではないか、と考えるかもしれません。しかし、NITRO「TEAM PRO」はその点も巧みに設計されています。
この板には「DUAL DEGRESSIVE SIDECUT(デュアルデグレッシブサイドカット)」という特殊なサイドカットが採用されています。これは、板の中心部(足元)のサイドカーブを小さくし、ノーズとテールに向かうにつれてカーブを大きくした複合的な形状です。
このサイドカットのおかげで、ターンの導入がスムーズになり、硬い板でありながらも比較的扱いやすい乗り心地を実現しています。また、遊び心のあるルーズなフィーリングも持ち合わせているため、スイッチ(逆向き)での滑走や、フリースタイルな動きにも対応しやすくなっています。
ただし、この操作性の良さは、ある程度のスピード域で発揮されるものです。極端な低速域で小回りをしたり、狭いツリーランを抜けたりするような場面では、板の硬さからくる扱いにくさを感じることもあります。あくまでハイスピードの中でもコントローラブルである、という意味での操作性の高さと理解するのが適切です。
型落ちモデルの購入はありかなしか
NITRO「TEAM PRO」はハイエンドモデルであるため、新品の価格は決して安くありません。そこで多くの方が検討するのが「型落ちモデル」の購入です。
結論から言うと、型落ちモデルは非常に賢い選択肢となり得ます。TEAM PROは完成度の高いモデルであるため、年式による劇的なスペック変更は少ない傾向にあります。
特にグラフィックデザインの変更がメインで、乗り味に直結するコア材や形状、フレックスなどが数年間据え置かれることも珍しくありません。
このように、1、2年落ちのモデルであれば、最新モデルと遜色ない性能の板を、かなりお得な価格で手に入れることが可能です。
ただし、購入前にはその年式のスペックをしっかりと確認し、大きなモデルチェンジがなかったかを確認することが大切です。デザインに強いこだわりがなければ、型落ちモデルは非常におすすめの選択肢と言えます。
滑るジャンルで見るNITRO・TEAM PROの評価
オールラウンド
カービング | |
---|---|
フリーラン | |
パウダー | |
グラトリ | |
ラントリ | |
キッカー(小~中) | |
キッカー(中~大) | |
ジブ |
キッカーで最高性能を発揮する一枚
NITRO「TEAM PRO」が最もその真価を発揮するジャンルは、間違いなくパークのキッカー(ジャンプ台)です。プロライダーからのフィードバックを基に開発されていることからも、その性能は折り紙付きです。
キッカーで重要になるのは、アプローチ(助走)の安定性、リップ(踏み切り台)での抜けの良さ、そしてランディング(着地)の安定感です。TEAM PROは、これら全ての要素を高次元で満たしています。
硬いフレックスとトゥルーキャンバー形状が、ハイスピードでのアプローチでもブレない直進安定性を生み出します。そして、リップを抜ける瞬間に板を踏み込めば、カーボンを内蔵したコアが爆発的な反発力を提供し、楽に高さを出すことができます。空中に飛び出した後も、バランスの取れた重量感が安定した姿勢を保つのを助け、ビッグサイズのジャンプでも安心して着地を迎えられます。
要するに、より高く、よりスタイリッシュにジャンプを決めたいと考えるライダーにとって、TEAM PROは最高のパフォーマンスを引き出してくれる一枚です。
カービングのキレと走りを両立
キッカーと並び、NITRO「TEAM PRO」が非常に得意とするのがカービングです。圧雪された綺麗なバーンを、鋭いエッジングで滑り降りる爽快感は格別です。
この優れたカービング性能の秘密は、やはりトゥルーキャンバー形状と硬いフレックスにあります。トゥルーキャンバーがもたらす強力なエッジホールド性能により、高速域やアイスバーンに近い硬い雪面でもエッジがズレることなく、しっかりと雪面を捉え続けます。これにより、ライダーは安心して深く板を倒し込むことができます。
また、硬いトーション(板のねじれ剛性)が、ターン中に発生するブレを抑制し、ターン後半の力強い走りを生み出します。板がたわんでから元に戻ろうとする力が、次のターンへの推進力に変わり、スピードを失うことなくリズミカルなカービングを続けることが可能です。
ただし、この性能はターン中にしっかりと板を踏める上級者向けのものでもあります。板をずらしながら滑るような乗り方にはあまり向いておらず、カービングの質を追求するライダーのための性能と言えるでしょう。
フリーランでのオールラウンドな性能
NITRO「TEAM PRO」は、ゲレンデ内を自由に滑走するフリーランにおいても高い性能を発揮します。圧雪されたピステンバーンを気持ちよくクルージングするような場面では、その安定性とスピード性能が光ります。
高速で流していても板は安定しており、多少の凹凸はものともせずに突き進んでいきます。ゲレンデ脇にある壁のような地形で遊んだり、ナチュラルなヒットポイントでオーリーをかけたりする際も、高い反発力が楽しさを倍増させてくれます。
このように、整備されたゲレンデ内を縦横無尽に滑るスタイルにおいては、非常にオールラウンドで頼りになる存在です。
ただし、この「オールラウンド」は、あくまで「パークやカービングを得意とする板が、フリーランにも高いレベルで対応できる」という意味合いが強いです。次の項目で解説するように、全てのジャンルをそつなくこなすタイプの板とは少し性格が異なります。
グラトリには相応のスキルが求められる
ここでは、NITRO「TEAM PRO」の向き不向きについて、ハッキリと解説します。グラトリをメインに楽しみたいと考えているライダーにとって、この板は最適な選択とは言えません。
理由は、その硬いフレックスと強い反発力にあります。板をしならせて行うプレス系の技(ノーズプレスやテールプレスなど)は、相当な脚力がないと板を十分に曲げることができず、スタイルを出すのが難しくなります。
もちろん、板の反発を活かした高回転のスピン(ノーリー540など)や、高さのあるトリックであれば、その性能を武器にすることも可能です。実際にTEAM PROを乗りこなし、スタイリッシュなグラトリを見せる上級者も存在します。
しかし、これからグラトリを始めたい方や、低速で多彩な技を繰り出したい方にとっては、明らかにオーバースペックであり、上達の妨げになる可能性すらあります。したがって、グラトリを主軸に置くのであれば、よりフレックスが柔らかく、操作性に優れた専用モデルを選ぶことを強く推奨します。
パウダーコンディションでの滑走性能
グラトリと同様に、ディープパウダーでの滑走もNITRO「TEAM PRO」が苦手とする領域です。
その最大の理由は、形状がトゥルーキャンバーであることです。キャンバー形状は、構造上、ノーズが雪の中に潜りやすいという特性を持っています。そのため、新雪が深く積もった日には、ライダーが意識的に後足に重心を置かないと、ノーズが沈んでしまい、スムーズに滑ることが難しくなります。
セットバック(ビンディングを通常よりテール寄りに設定すること)を最大まで入れることで、ある程度の対応は可能ですが、パウダーでの浮力を重視して設計されたロッカー形状やハイブリッド形状の板と比較すると、その差は歴然です。
もちろん、多少のパウダーであれば問題なく滑走できますし、ツリーランなどでもある程度の走破性はあります。しかし、パウダーデイをメインに楽しみたいのであれば、この板は不向きです。パウダー専用のボードを別途用意するか、より浮力を得やすい形状のオールラウンドボードを検討するのが賢明です。
総括:NITRO「TEAM PRO」の最終評価
この記事を通じて解説してきたNITRO「TEAM PRO」の特徴、性能、そして向き不向きを、最後に要点としてまとめます。この板の購入を検討している方は、以下のポイントがご自身の滑りのスタイルやレベルに合っているか、最終確認の材料としてください。
- NITRO「TEAM PRO」は上級者向けのハイパフォーマンスモデル
- 形状は反発力とエッジホールドに優れるトゥルーキャンバー
- フレックスは10段階中8と硬めの設定
- 高速滑走時の安定性が非常に高い
- カーボン搭載による爆発的な反発力(ポップ感)が魅力
- 得意なジャンルはキッカーとカービング
- プロレベルのジャンプやキレのあるターンを求めるライダーに最適
- 圧雪バーンでのフリーランも高いレベルでこなす
- 一方でグラトリ、特にプレス系の技には不向き
- 板の硬さから相応の脚力とスキルが求められる
- ディープパウダーでの浮力は得にくく、メインでの使用は厳しい
- オールラウンドボードだが、得意不得意がハッキリしている
- 初心者や脚力に自信のない方には推奨されない
- 型落ちモデルはコストパフォーマンスが高く狙い目
- 自分の滑りのレベルと目指すスタイルを明確にして選ぶことが重要