【K2】EXTRAVISIONの評価|パウダーもカービングも快適な実力

K2「EXTRAVISION(エクストラビジョン)」は、スノーボードのスキルをさらに高めたいと考える中上級の女性ライダーにとって、注目のオールマウンテンボードです。この記事では、K2「EXTRAVISION」の持つポテンシャルについて、様々な角度からその性能を詳しくレビューします。
多くの方が気になるであろう、実際の滑走感や操作性、そしてどのようなコンディションでその真価を発揮するのか、具体的な評価ポイントを交えながら解説していきます。
パウダーから圧雪バーンまで、あらゆる場面でのEXTRAVISIONの乗り味を知りたい方、自分に合った一本を探している方は、ぜひ参考にしてください。
このボードがあなたのスノーボードライフをより豊かにする可能性を秘めているか、一緒に見ていきましょう。
- 中上級女性向けの総合的な性能
- 構造からわかる詳細な乗り味
- 多様な雪質での滑走フィーリング
- 扱いやすさとターン性能の秘密
K2「EXTRAVISION」の基本スペックから紐解く詳細評価
対象 | レディース |
形状 | ハイブリッドキャンバー |
シェイプ | ディレクショナルツイン |
ボードの硬さ | 10段階中5(普通) |
対象レベル | 初心者から上級者 |
サイズ | 139,142,145,147,149,152,149W,152W |
中上級者向け女性用モデルとしての実力
K2「EXTRAVISION」は、ある程度滑れるようになって、さらにステップアップしたいと考えている女性スノーボーダーのために作られたモデルです。ゲレンデの圧雪バーンから、ふかふかのパウダースノーまで、様々な雪質やコースコンディションに対応できるオールラウンドな性能を持っています。
このボードは、女性の体格や脚力、そして滑りのスタイルを考慮して設計されている点が大きな特徴です。ただ単に男性用モデルを小さくしただけでなく、女性が扱いやすく、かつ高いパフォーマンスを引き出せるような工夫が凝らされています。
そのため、中上級レベルの女性ライダーが求める、ターン時のキレや安定性、そしてパウダーでの浮力をバランス良く提供してくれます。これからもっと難しい斜面や新しい滑り方に挑戦したい、そんなアクティブな女性スノーボーダーの期待に応える実力を持ったボードと言えるでしょう。
ディレクショナルコンビネーションキャンバーの特性
K2「EXTRAVISION」が採用している「ディレクショナルコンビネーションキャンバー」という形状は、滑りやすさと楽しさを両立させるための工夫が詰まった設計です。まず、「ディレクショナル」とは、ボードの進行方向が決まっていることを意味し、前後の形が非対称になっています。これにより、ターンに入りやすく、安定した滑りが可能になります。
そして「コンビネーションキャンバー」は、複数の形状を組み合わせたものです。具体的には、両足の間は伝統的な「キャンバー形状」になっており、弓のように少し盛り上がっています。この部分が雪面をしっかりと捉えることで、ターン時の反発力を生み出し、キレのある滑りをサポートします。
一方で、ボードの先端(ノーズ)と後端(テール)に近い部分は「ロッカー形状」といい、逆に少し反り上がっています。この反り上がりが、パウダースノーでの浮力を高め、ターンを始める際の引っかかりを軽減し、スムーズな操作感をもたらします。つまり、安定性と操作性、そして浮力という、スノーボードに求められる要素をバランス良く兼ね備えた形状なのです。
コア材「リズムコア」がもたらすフィーリング
K2「EXTRAVISION」の乗り心地を左右する重要な要素の一つが、ボードの芯材である「リズムコア」です。このリズムコアは、アスペンとポローニアという2種類の木材を組み合わせて作られています。アスペンは軽量でありながら強度としなやかさを持ち、ポローニアは非常に軽量な木材として知られています。
K2は、これらの木材を女性ライダーの体格や滑りの特徴に合わせて配置することで、ボード全体の軽量化と最適なフレックス(板のしなりやすさ)を実現しています。特に、ボードの先端(ノーズ)と後端(テール)部分には軽量なポローニアを多く使用することで、スイングウェイト(板を振った時の重さ)を軽減。これにより、ターンのきっかけが掴みやすくなり、軽快な操作フィールをもたらします。
また、足元には反発力に優れたアスペンを配置することで、しっかりとした踏み応えと、ターン時の俊敏な反応を引き出します。このリズムコアによって、K2「EXTRAVISION」は女性にとって扱いやすく、それでいてアクティブなライディングにも応えてくれるフィーリングを提供しています。
グラスファイバー「ICG™ 10」によるレスポンス
K2「EXTRAVISION」には、「ICG™ 10 バイアックスグラス」という特殊なグラスファイバーが使われています。グラスファイバーは、スノーボードの強度や反発力を調整する上で非常に重要な素材です。このICG™ 10は、グラスファイバーの中にカーボンファイバーの細い糸(ストリンガー)を編み込んでいるのが特徴です。
カーボンファイバーは非常に軽くて強い素材で、スノーボードに使うと反発力や応答性が向上します。「バイアックス」とは、グラスファイバーの繊維が2方向に編み込まれていることを意味し、これによりボードはねじれやすく、比較的ソフトな乗り心地になります。
ICG™ 10では、このバイアックスグラスにカーボンストリンガーを加えることで、ボードのしなやかさを保ちつつ、必要な部分の反発力とキレを高めています。ライダーがボードに力を加えた際に、その力が素早く雪面に伝わり、クイックで正確なボードコントロールを可能にします。これにより、ターン時のレスポンスが向上し、よりダイナミックな滑りを楽しむことができるのです。
滑走面「シンタード4000ベース」の性能
K2「EXTRAVISION」の滑走面には、「シンタード4000ベース」という高品質な素材が採用されています。滑走面はスノーボードの滑りに直接影響する非常に重要な部分です。
シンタードベースは、ポリエチレンの粉末を高圧で焼き固めて作られており、一般的なエクストゥルーデッドベース(押し出し製法で作られるベース)と比較して、密度が高く、硬いという特徴があります。
このシンタード4000ベースの最大のメリットは、ワックスの吸収性が非常に高いことです。滑走面にしっかりとワックスが浸透することで、雪との摩擦が減り、よりスムーズで速い滑りを実現します。特に、春先の湿った雪や、気温が低い時の乾いた雪など、様々な雪質コンディションでその性能を発揮します。
また、シンタードベースは硬くて耐久性にも優れているため、小石やブッシュなどとの接触による傷がつきにくいという利点もあります。これにより、高性能な滑走性を長く維持しやすく、ライダーは常に快適な滑りを楽しむことができます。しっかりとしたメンテナンスを行うことで、その性能を最大限に引き出せる滑走面と言えるでしょう。
K2「EXTRAVISION」のライディングシーン別評価
オールラウンド
カービング | |
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フリーラン | |
パウダー | |
グラトリ(弾き系) | |
グラトリ(乗り系) | |
ラントリ | |
キッカー(小~中) | |
キッカー(中~大) | |
ジブ |
オールマウンテンでの総合的な滑走性能
K2「EXTRAVISION」は、ゲレンデ内の圧雪されたコースから、降雪後のふかふかのパウダースノー、そして春先の少し湿った雪まで、まさに「オールマウンテン」という言葉が示す通り、あらゆる雪質や斜面で高いパフォーマンスを発揮するように設計されています。その秘密は、ボードの形状や内部構造にあります。
例えば、ボード中央のしっかりとしたキャンバー形状は、圧雪バーンでエッジを効かせたキレのあるターンを可能にし、ノーズ部分のロッカー形状はパウダーでの浮力を生み出します。また、女性向けに調整されたコア材「リズムコア」と、反発力を高める「ICG™ 10」グラスファイバーの組み合わせにより、軽快な操作性と安定感を両立。
これにより、ライダーはコンディションの変化を気にすることなく、一日を通してスノーボードの楽しさを存分に味わうことができます。様々な状況に対応できるため、次にどんな斜面が待っていても安心して滑り込める、頼りになる一本と言えるでしょう。
パウダーコンディションでの浮力と操作性
新雪が降り積もったパウダーコンディションは、多くのスノーボーダーにとって最高の瞬間の一つです。K2「EXTRAVISION」は、そんなパウダーライディングを存分に楽しむための性能を備えています。特に注目すべきは、ボードの先端(ノーズ)部分が反り上がったロッカー形状と、ノーズがテールよりも少し太く長めに設計されたディレクショナルシェイプです。
この組み合わせによって、ボードの先端が雪の中に沈み込みにくく、まるでサーフィンのように雪の上を滑っていくような浮力を感じられます。これにより、ライダーは余計な力を入れることなく、自然な体勢でパウダーの中をスムーズに進んでいくことができます。
さらに、女性向けに軽量化された「リズムコア」は、深い雪の中でもボードコントロールを容易にし、軽快なターンをサポートします。パウダー初心者にとっては扱いやすく、経験豊富なライダーにとってはより自由でダイナミックな滑りを可能にする、優れた浮力と操作性を提供してくれるでしょう。
圧雪バーンでのカービング性能と安定感
整備された圧雪バーンでのカービングターンは、スノーボードの醍醐味の一つです。K2「EXTRAVISION」は、このカービングにおいても高い性能を発揮します。その中心となるのが、両足の間に設けられた伝統的なキャンバー形状です。この弓なりに盛り上がった部分が、ターン時に雪面をしっかりとグリップし、エッジ全体で雪を捉えることを可能にします。
さらに、グラスファイバーにカーボンストリンガーを組み込んだ「ICG™ 10」が、ボードの反発力としなりを最適化。ターン後半でエッジを強く踏み込んだ際には、そのエネルギーを推進力に変え、キレのあるシャープなターン弧を描くことができます。また、ディレクショナルシェイプはターンの導入をスムーズにし、高速域での安定性にも貢献します。
これにより、ライダーは安心してスピードを上げ、エッジを深く倒し込んだダイナミックなカービングターンを楽しむことができるのです。しっかりとしたエッジホールドと安定感が、圧雪バーンでの滑走をより一層楽しいものにしてくれます。
取り回しの良さとターン導入の容易さ
K2「EXTRAVISION」は、女性ライダーが扱いやすいように、取り回しの良さとターンの導入のしやすさにもこだわって設計されています。ボードの芯材に使われている「リズムコア」は、軽量な木材を効果的に配置することで、ボード全体の重量を軽減。特に、板を振った時の重さ(スイングウェイト)が軽くなるように工夫されており、これが機敏なボードコントロールに繋がっています。
また、ボード先端のロッカー形状は、ターンのきっかけを掴む際に非常に有効です。エッジが雪面に引っかかりにくいため、スムーズにターンを開始でき、ライダーは余計な力を必要としません。これにより、連続したターンや、ツリーランのような細かな動きが求められる場面でも、思い通りにボードを操ることができます。
フレックス(板のしなりやすさ)も女性の脚力に合わせて調整されているため、少ない力でもボードをしっかりとたわませ、ターンをコントロールすることが可能です。この取り回しの良さが、様々なコンディションでライダーの負担を軽減し、スノーボードをよりリラックスして楽しむことを助けてくれるでしょう。
EXTRAVISIONのデザインとグラフィック
K2「EXTRAVISION」は、その優れた性能だけでなく、洗練されたデザインと魅力的なグラフィックも特徴の一つです。
K2のスノーボードは、機能性とスタイリッシュさを両立させたデザインで知られていますが、EXTRAVISIONもその例に漏れません。多くの場合、ターゲットとする女性ライダーの感性に響くような、現代的で目を引くアートワークが採用されています。
グラフィックは、単に美しいだけでなく、ボードのコンセプトや性能を表現する要素としても機能しています。例えば、オールマウンテンで活躍するボードであれば、自然の雄大さや力強さを感じさせるモチーフが使われたり、あるいはシャープで洗練されたラインがスピード感やコントロール性を想起させたりします。
色使いについても、ゲレンデで映える鮮やかなカラーリングから、落ち着いたシックなトーンまで、幅広いバリエーションが見られます。
所有する喜びを感じさせ、ゲレンデでの気分を高めてくれるようなデザインは、スノーボードを選ぶ上での重要なポイントと言えるでしょう。EXTRAVISIONは、滑りのパフォーマンスだけでなく、見た目の満足感も提供してくれるモデルです。
まとめ:K2「EXTRAVISION」の評価について
K2「EXTRAVISION」は、ステップアップを目指す中上級の女性スノーボーダーに向けたオールマウンテンボードです。その核心には、多様な雪質に対応する工夫が凝らされています。
「ディレクショナルコンビネーションキャンバー」形状は、安定性と操作性、パウダーでの浮力を両立させます。女性専用に設計された「リズムコア」は、軽量でありながらしっかりとした反発力を提供し、軽快な操作感を実現。
さらに、「ICG™ 10」グラスファイバーがターン時のレスポンスを高め、ダイナミックな滑りをサポートします。滑走面にはワックス浸透性と耐久性に優れた「シンタード4000ベース」を採用し、あらゆるコンディションで高い滑走性能を発揮します。
これらの技術により、パウダーでの浮力と操作性、圧雪バーンでのカービング性能と安定感、そして取り回しの良さを高次元でバランス。加えて、洗練されたデザインとグラフィックも魅力で、滑りのパフォーマンスだけでなく所有する喜びも満たしてくれる一本と言えるでしょう。