【JONES】MIND EXPANDERの評価を徹底分析!乗り味から選び方まで

JONESのラインナップの中でも一際個性的な存在感を放つMIND EXPANDER(マインド・エクスパンダー)。創設者のジェレミー・ジョーンズや、ライダーのクリス・ベレスフォードが見せるような自由なライディングに憧れ、このボードに興味を持つ方は少なくありません。
しかし、その特徴的な形状から、自分の滑りに合うのかどうか、判断が難しいと感じることもあるでしょう。
この記事では、MIND EXPANDERの評価について、そのスペックや技術的な背景から、パウダーやカービングといった具体的なシーンでの乗り味まで、プロのWEBライターが客観的な視点で徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたにとって最高の選択肢となるか、その答えが見つかるはずです。
- MIND EXPANDERの評価を支える独自スペックと技術背景
- パウダーやフリーランなど得意なジャンルと不向きなシーン
- ライダーのレベルや滑りのスタイルとの相性
- 型落ちモデルを含めたコストパフォーマンスの良い選び方
JONES・MIND EXPANDERの評価を支えるスペックと技術
ここでは、JONES MIND EXPANDERがなぜ高い評価を得ているのか、その根幹をなすスペックと独自のテクノロジーについて詳しく見ていきます。サーフシェイパーが手掛けた唯一無二の形状には、あらゆる雪山を楽しむための知恵と工夫が詰まっています。
項目 | 詳細 |
シェイプ | ディレクショナル |
キャンバー形状 | クライスト/サーフ ロッカープロファイル |
フレックス | 6 (10段階中) |
ベース | シンタード 8000 |
コア | FSC™ クラシックコア |
テクノロジー | トラクションテック 3.0, 3Dコンツアーベース 3.0 |
推奨用途 | パウダー, フリーライド, オールマウンテン |
監修したシェイパーのコンセプト
MIND EXPANDERの評価を語る上で欠かせないのが、その設計思想です。このボードは、単なるスノーボードではなく、「雪上のサーフボード」という明確なコンセプトを持って開発されました。
目的は、パウダースノーの波をサーフィンのように滑らかに、そして自由に滑り降りること。そのため、従来のオールマウンテンボードとは一線を画す、独創的なアイデアが随所に盛り込まれています。
言ってしまえば、山のあらゆる地形を波と捉え、クリエイティブなラインを描くための道具としてデザインされているのです。このユニークなコンセプトこそが、多くのフリーライダーを魅了するMIND EXPANDERの原点と言えます。
デザイナー、クリスト・テンソンの経歴
この独特なコンセプトを形にしたのが、世界的に有名なサーフボードシェイパーであるクリスト・テンソン(Chris Christenson)です。彼は、カリフォルニアを拠点に、革新的なサーフボードを数多く生み出してきたレジェンドの一人。
スノーボードのデザインにサーフボードのシェイピング理論を持ち込んだことは、画期的な出来事でした。彼の経験と感性が、MIND EXPANDERの核となる3D形状やアウトラインに注ぎ込まれています。
スノーボードブランドがサーフシェイパーとタッグを組むこと自体が珍しく、このコラボレーションがボードの乗り味にサーフテイストという特別な価値を与えているのです。
浮力を生むサーフテック3.0とは?
MIND EXPANDERの最大の特徴とも言えるのが、JONESが誇る「サーフテック3.0」(3Dコンツアーベース)です。これは、ボードのノーズとテールのエッジ側が、まるでスプーンのように滑らかに反り上がっている立体的なソール形状のことを指します。
この技術の主な目的は、パウダーでの浮力を最大限に引き出すことです。平らなソールに比べて雪の抵抗を受け流しやすく、ボードが自然に浮き上がろうとします。これにより、ライダーは後足に過重をかけ続けなくても、楽にノーズを上げ続けることが可能です。
また、ターンを始める際のきっかけ作りも非常にスムーズになります。エッジが引っかかりにくく、バターのような滑らかなターンフィーリングを味わえるのも、このサーフテック3.0の恩恵と言えるでしょう。
特徴的なノーズとテールのスプーン形状
前述のサーフテック3.0を構成する要素が、ノーズとテールの「スプーン形状」です。特にノーズ部分は大胆に反り上がっており、深いパウダーに突っ込んでも雪をかき分け、まるで船が水面を進むように前へと進んでいきます。
一方で、テール側にも緩やかなスプーン形状が採用されているのがポイントです。これにより、スイッチスタンス(逆向きでの滑走)での着地や、パウダーでのターン後半の抜けが非常にスムーズになります。
この立体的なソール形状は、MIND EXPANDERのサーフライクな乗り心地を決定づける重要な要素です。ただ浮くだけでなく、雪面を三次元的に捉え、流れるようなライディングを実現するための工夫が凝らされています。
グリップ力を高めるトラクションテック
「パウダーボードは圧雪バーンが苦手」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、MIND EXPANDERはその常識を覆します。その秘密が、エッジ部分に採用されている「トラクションテック」です。
これは、エッジが直線ではなく、まるで波刃のナイフのように複数の突起(コンタクトポイント)を持っている技術です。この突起が硬くパックされた雪面やアイスバーンにしっかりと食い込み、安定したエッジグリップを生み出します。
このため、パウダーだけでなく、朝一番の硬い圧雪バーンでのカービングも安心して楽しむことが可能です。パウダーでの浮力と圧雪でのグリップ力という、相反する要素を両立させているのが、このトラクションテックの優れた点です。
推進力を生むディレクショナルシェイプ
MIND EXPANDERは、ノーズがテールよりも長く太い「ディレクショナルシェイプ」を採用しています。これは、進行方向に対して優れたパフォーマンスを発揮するための形状です。
ビンディングの取り付け位置も、ボードの中心よりテール側にずらした「セットバック」が推奨されています。この形状とセッティングにより、何もしなくてもノーズが浮きやすく、テールが沈むことでパウダーでの操作性が格段に向上します。
また、直進安定性も高まるため、荒れた雪面や高速域でのライディングでもボードが暴れにくく、安心して滑ることが可能です。フリーライドを主戦場とするこのボードにとって、ディレクショナルシェイプは理にかなった選択と言えるでしょう。
ジャンルで見るJONES・MIND EXPANDERの乗り味評価
ここでは、MIND EXPANDERが実際の滑走シーンでどのようなパフォーマンスを発揮するのか、ジャンル別に評価していきます。パウダーやフリーランでの強みはもちろん、カービング性能や少し苦手な分野についても正直に解説します。
ジャンル | 評価 (5.0満点) | 特徴 |
カービング | 太めの板とトラクションテックで安定感はあるが、キレ味は専門ボードに劣る | |
フリーラン | 地形遊びや壁での当て込みなど、クリエイティブな滑りに最適 | |
パウダー | 圧倒的な浮力と操作性。このボードの真骨頂 | |
グラトリ(弾き系) | ノーズが柔らかく反発を使いにくい。不向き | |
グラトリ(乗り系) | 3D形状によるスムーズさはあるが、重量と形状から扱いにくい | |
ラントリ | カービング中のトリックには向かない。フリーランの中での遊びがメイン | |
キッカー(小~中) | 安定感はあるが、スイングウェイトが重く機敏な動きは苦手 | |
キッカー(中~大) | 重量、形状ともにビッグキッカーには全く不向き | |
ジブ | 3D形状がレールやボックスで不安定になりやすい。不向き |
パウダーで生きる絶妙なフレックス
MIND EXPANDERのフレックス(板の硬さ)は、10段階中で6と、ミディアムに設定されています。これは、パウダーライディングにおいて非常に大きなメリットをもたらします。
硬すぎないフレックスは、低速域でもボードをしならせやすく、細かい地形の変化にも柔軟に対応できます。これにより、ツリーランなどのテクニカルな状況でも、ボードを楽にコントロールすることが可能です。
それでいて、ある程度のハリも持たせているため、高速でパウダーを滑る際の安定感も損ないません。ただ柔らかいだけでなく、しっかりと芯のあるフレックス設定が、MIND EXPANDERの扱いやすさと走破性を両立させているのです。
カーボンが生む高速安定性と反発力
ミディアムフレックスと聞くと、高速域でのバタつきを心配するかもしれません。しかし、MIND EXPANDERにはカーボンストリンガーといった補強材が効果的に配置されています。
このカーボンが、ボードの不要なねじれを防ぎ、高速滑走時や荒れたバーンでの安定感を高めてくれます。ボードを踏み込んだ際には、カーボンの力強い反発が返ってくるため、ターン後半の加速感も気持ちよく味わえます。
つまり、ただ柔らかくてパウダーで浮くだけのボードではなく、しっかりとした滑りにも応えてくれる懐の深さを持っています。この絶妙なバランスが、中級者から上級者まで幅広い層のライダーに評価される理由の一つです。
カービング性能に関わるウエスト幅
MIND EXPANDERは、同レングスの一般的なボードと比較して、ウエスト幅が広く設計されています。この太いウエスト幅は、カービングにおいて二つの側面を持ちます。
まずメリットは、圧倒的な安定感です。ボードの接雪面積が広いため、ターン中にボードがズレにくく、どっしりとした安定したカービングが可能です。また、足のサイズが大きいライダーでも、ブーツやビンディングが雪面に接触してしまう「ドラグ」の心配が少なくなります。
一方で、デメリットとして挙げられるのが、エッジからエッジへの切り返しのレスポンスです。ウエストが太い分、細いボードに比べると切り返しに若干の力と時間が必要になります。キレッキレの素早いショートターンを繰り返すよりは、ゆったりとした大きなターンで滑る方が、このボードの持ち味を活かせると考えられます。
推奨スタンス幅とセッティングの自由度
このボードは、サーフライクな乗り味を最大限に引き出すため、推奨スタンスはやや広めに設定されています。また、前述の通り、テール側にビンディングをずらす「セットバック」が基本となります。
しかし、インサートホールの数は十分に用意されているため、セッティングの自由度は高いです。例えば、よりパウダーでの浮力を重視する日はさらにセットバックを大きくしたり、圧雪での滑りをメインに考える日は少しスタンスをセンター寄りに戻したりと、コンディションや好みに合わせた微調整ができます。
自分に合ったセッティングを見つけることで、MIND EXPANDERのポテンシャルをさらに引き出すことができるでしょう。
フリーランや地形で最高のパフォーマンス
MIND EXPANDERが最も輝くのは、ゲレンデ脇の壁や沢、自然のキッカーといった「地形」で遊ぶフリーランのシーンです。
3Dコンツアーベースのおかげで、壁に当て込む際や、うねりのある地形を滑る際に、エッジが引っかかりにくく、非常にスムーズで流れるような動きが可能です。まるでスケートボードでバンクを滑るような、三次元的なライディングを楽しめます。
圧雪バーンをただ滑るだけでなく、ゲレンデ全体を遊び場として捉え、自分だけのラインを見つけて滑りたい。そう考えるクリエイティブなライダーにとって、このボードは最高の相棒になります。一方で、整地されたバーンでのカービングのキレや、パークでのパフォーマンスを最優先するライダーには、あまり向いていないかもしれません。
コスパが良い型落ちモデルの選択肢
JONESのボードは比較的高価な部類に入りますが、MIND EXPANDERは人気モデルであるため、シーズン終わりや翌シーズン初めに「型落ちモデル」としてお得に手に入る可能性があります。
数年前のモデルであっても、基本的な設計思想やコアな技術は大きく変わらないことが多いです。もちろん、最新モデルには細かなアップデートやグラフィックの変更がありますが、MIND EXPANDERの持つ独特の乗り味は、型落ちモデルでも十分に体験できます。
初めてMIND EXPANDERを試してみたい方や、少しでも予算を抑えたい方にとって、型落ちモデルは非常に賢い選択肢となり得ます。ただし、年式によるスペックの違いや、中古品の場合はボードの状態をしっかりと確認することが大切です。
JONES・MIND EXPANDERの総合評価まとめ
- JONES MIND EXPANDERは雪上のサーフボードがコンセプト
- 設計者は著名なサーフシェイパーのクリスト・テンソン
- 最大の特徴は浮力を生むサーフテック3.0という3Dソール形状
- ノーズとテールのスプーン形状がスムーズなターンを実現する
- トラクションテックにより圧雪でのグリップ力も確保
- パウダーに最適なディレクショナルシェイプを採用している
- フレックスは扱いやすいミディアム設定
- カーボン搭載で高速安定性と反発力も持ち合わせる
- ウエスト幅が広く安定感があるが切り返しはややマイルド
- 推奨スタンスはやや広めのセットバックが基本
- セッティングの自由度は高く好みに合わせられる
- 最高のパフォーマンスを発揮するのはパウダーと地形遊び
- 整地されたバーンでのフリーランやカービングも楽しめる
- キッカーやジブ、グラトリといったパークライディングには不向き
- コストを抑えたいなら型落ちモデルも有力な選択肢











