【HEAD】HI FIVEの評価は?DCT 2.0が導くグラトリ・パークの楽しさ
										このスノーボードが自分に合っているか、具体的な性能について知りたいと考えているのではないでしょうか。
HEAD「HI FIVE(ハイファイブ)」は、そのユニークな形状と扱いやすさから注目を集めていますが、実際のインプレやレビューが気になるところです。
試乗会などで乗る機会がないと、初心者の方がいきなり選んで失敗や後悔につながらないか不安になるかもしれません。
また、型落ちや中古での購入を検討している場合も、その性能が今の滑りにマッチするかどうかは重要な判断基準となります。
ゲレンデでのフリーランはもちろん、パークでのパフォーマンスなど、多角的なレビューが求められます。
この記事では、HEAD「HI FIVE」の評価について、その特徴から得意なライディングスタイルまで、プロのWEBライターの視点で客観的に詳しく解説していきます。
- HEAD「HI FIVE」独自の形状「DCT 2.0」がもたらす具体的な操作性
 - ハイブリッドキャンバー構造がフリーランやグラトリに与える影響
 - どのようなレベルのユーザーやライディングスタイルに最適か
 - パーク、カービング、パウダーなど各ジャンルでの適正評価
 
HEAD・HI FIVEの評価につながる特徴とスペック
| 項目 | メンズ (HI-FIVE M) | レディース (HI-FIVE W) | 
| 形状 | Hybrid Camber DCT 2.0 | Hybrid Camber DCT 2.0 | 
| シェイプ | ツイン | ツイン | 
| サイズ(cm) | 150, 153, 156, 159 | 138, 142, 145, 148 | 
| コア | ライトコア & 六角形コア (Hexagonal Core) | ライトコア & 六角形コア (Hexagonal Core) | 
| ベース | エクストゥルーデッド・ベース | エクストゥルーデッド・ベース | 
| フレックス(10段階) | 5 (ミドル) | 5 (ミドル) | 
DCT 2.0(形状)がもたらす操作性
HEAD「HI FIVE」を語る上で欠かせないのが、独自の「DCT 2.0(ダブル・キャンバー・トーション 2.0)」形状です。これは、ボードの中央部分(スタンス間)が細くくびれた形状になっているのが最大の特徴です。
このくびれが、非常に優れたトーション(ねじれ)性能を生み出します。実際にゲレンデで試してみると、足元の操作に対する反応がとても素直です。
軽く足首を使うだけでボードがねじれてくれる感覚があり、ターンのきっかけ作りが非常に簡単でした。
特に低速域でのコントロール性能が高く、ボードを左右に振るような動きや、細かい操作が求められる場面で、この形状の恩恵を強く感じ取れます。
ターン初心者や、ボード操作にまだ慣れていない方にとって、この扱いやすさは大きな武器になると考えられます。
また、この形状は4つの接雪点を持つことにつながり、エッジグリップも安定しています。操作は楽なのに、必要な時にはしっかりエッジが雪面を捉えてくれる、バランスの取れた設計です。
ハイブリッドキャンバー構造の利点
HI FIVEは、DCT 2.0形状と合わせて「ハイブリッドキャンバー」を採用しています。具体的には、スタンス間がフラットで、足の外側からノーズとテールにかけてキャンバー(アーチ形状)が配置されています。
この構造の利点は、キャンバーの持つ反発力やエッジホールドと、フラット部分の持つ安定性や操作性を両立している点にあります。
キャンバー部分は、ターン時にしっかり踏み込むと強い反発を生み出し、キレのあるターンをサポートします。
また、オーリーやノーリーといった弾き系のトリックにおいても、このキャンバーが反発力をアシストしてくれる印象です。
一方で、スタンス間のフラット部分は、ジブアイテムやボックスの上、あるいはグラトリでプレス(ボードをしならせる)動作を行う際に、広い面で雪面やアイテムを捉えることができます。これにより、プレス時の安定感が格段に向上します。
扱いやすいフレックスとトーション
前述の通り、HI FIVEはDCT 2.0形状により、トーション(ねじれ)が非常に使いやすくなっています。この「ねじれやすさ」が、ボード全体のフレックス(硬さ)と絶妙に組み合わさっています。
ボード全体のフレックスは、HEADのラインナップ中では「5」(10段階中)とされており、ミドルフレックスに分類されます。硬すぎず、柔らかすぎない設定です。
実際に乗ってみると、高速域でのバタつきを抑える適度な張りはありつつも、低速での扱いにくさを感じるほどの硬さはありません。むしろ、トーションが柔らかいため、フレックスの数値以上にボードがしなやかに動くように感じられます。
このバランスが、ターンからグラトリ、パークでのアイテムインまで、幅広い動きに対応できる要因となっています。力をあまり入れなくてもボードが反応してくれるため、長時間のライディングでも疲れにくいというメリットも挙げられます。
メンズ・レディースのモデル展開
HEAD「HI FIVE」は、メンズモデル(HI-FIVE M)とウィメンズモデル(HI-FIVE W)が明確にラインナップされています。
これは単にグラフィックやサイズ展開が違うだけではありません。ウィメンズモデルは、女性の脚力や体重、足のサイズを考慮して専用に設計されています。
メンズモデルと比較して、ウィメンズモデルはより少ない力でボードをしならせられるよう、フレックスやトーションが最適化されています。
体格やパワーに自信のない女性ライダーでも、HI FIVEの持つ操作性の高さを最大限に引き出せるようになっている点は、高く評価できます。
推奨スタンスと推奨体重の目安
ボード選びにおいて、自分の体格に合ったサイズを選ぶことは非常に重要です。HI FIVEはツインシェイプであり、スタンスは基本的に「ダックスタンス(両足が外向き)」が推奨されます。
グラトリやパークでのスイッチ(逆向き)滑走を考慮したセッティングです。
推奨体重については、公式サイトなどで明確な一覧表が提示されているわけではありませんが、一般的なスノーボード選びの基準が適用されます。
- フリーランやカービング主体の場合: 身長マイナス10cm〜15cm程度。
 - グラトリやパーク主体の場合: 身長マイナス15cm〜20cm程度。
 
ただし、HI FIVEは操作性が高いため、少し長めのサイズを選んでも比較的扱いやすい特性があります。
例えば、フリーランでの安定性も重視したいグラトリユーザーであれば、短すぎないサイズを選ぶのも一つの選択肢です。
推奨スタンス幅は、各サイズのインサートホール(ビンディングを取り付ける穴)によって決まりますが、基本的には肩幅程度を基準に、滑りながら微調整していくのが最適です。
軽量化を実現した六角形コア(Hexagonal Core)
HI FIVEの操作性の高さは、形状だけでなくコア(芯材)にも秘密があります。このモデルには、ノーズとテール部分に「六角形コア(Hexagonal Core)」が採用されています。
これは、ボードの特定部分のウッドコアを六角形(ハニカム構造)の軽量素材に置き換える技術です。これにより、ボードのスイングウェイト(ボードを振った時の重さ)が劇的に軽くなります。
スイングウェイトが軽いと、グラトリでのスピン(回転系トリック)や、オーリーなどのボードを引き付ける動作が非常に楽になります。
実際に回してみると、ノーズやテールがスッとついてくる感覚があり、回転数が180度(半回転)変わってくるほどの影響を感じました。
この軽量化とDCT 2.0の操作性が組み合わさることで、HI FIVEは「動かしやすいオールラウンドボード」としての地位を確立していると考えられます。
HEAD・HI FIVEの評価:得意ジャンルとスタイル
| ジャンル | 評価 (5.0満点) | 
| カービング | |
| フリーラン | |
| パウダー | |
| グラトリ(弾き系) | |
| グラトリ(乗り系) | |
| ラントリ | |
| キッカー(小~中) | |
| キッカー(中~大) | |
| ジブ | 
フリーラン性能を徹底チェック
HI FIVEのフリーラン性能は、非常に高いレベルにあると評価できます。ゲレンデを流すだけでも、このボードの楽しさが伝わってきます。
最大の理由は、DCT 2.0形状がもたらすイージーなターン導入性能です。少しの荷重移動でボードがスッとターンを開始してくれるため、地形遊びや緩急をつけた滑りがとてもしやすいです。
また、ハイブリッドキャンバー構造により、ターン中盤から後半にかけては足元のキャンバーがしっかりと雪面を捉え、安定したクルージングが可能です。ミドルフレックスのため、中速域での滑走が最も快適で、ボードがバタつくような不安定さも感じにくいです。
まさに「ゲレンデを遊び尽くす」という表現がぴったりで、ターンを練習中の初級者から、ゲレンデの地形を使って遊びたい中級者まで、幅広くフリーランを楽しめるボードです。
グラトリやラントリへの適性
グラトリ(グラウンドトリック)やラントリ(ランしながら行うトリック)は、HI FIVEが最も得意とするジャンルの一つです。
特に高い評価を与えたいのが、「乗り系」と呼ばれるプレス系のトリックです。スタンス間のフラット構造と、DCT 2.0の細いウエストが生み出す柔らかいトーションが組み合わさり、ボードを驚くほど簡単にしならせることができます。
ノーズプレスやテールプレスが低いスピードからでも安定し、スタイルを出しやすいです。
また、「弾き系」に関しても、スイングウェイトの軽さ(六角形コア)がスピンの速さをサポートします。足元のキャンバーが反発を生み出すため、オーリーやノーリーの高さも十分に出せます。
ラントリにおいても、ターンの合間にスムーズにトリックを仕掛けることができ、操作性の高さが光ります。グラトリをメインに楽しみたいライダーにとって、非常に有力な選択肢となるはずです。
カービングのキレと安定性
カービング性能については、一定のレベルまでは快適にこなせますが、専門的なカービングボードと比較するとやや物足りなさを感じる部分もあります。
DCT 2.0形状は4つの接雪点を持ち、ミドルスピード域でのエッジグリップは良好です。気持ちよくゲレンデをターンしていく分には全く問題ありません。
しかし、ボードのセンター部分が細く、トーションが柔らかいという特性上、ハイスピード域でボードを強く踏み込んでいくような、アグレッシブなカービングには限界があります。
高速でのターン後半に、エッジが抜けやすい感覚や、ボード全体の剛性不足を感じることがありました。
あくまでもフリーランやグラトリの中で「キレのあるターンも楽しむ」というレベルであり、カービング性能だけを最重要視する場合には、他の選択肢を検討する方が賢明かもしれません。
パークやキッカーでのパフォーマンス
パークやキッカー(ジャンプ台)も、HI FIVEが得意とする領域です。
特に小~中サイズのキッカーでは、その性能を存分に発揮します。アプローチ(助走)での安定性、スイングウェイトの軽さによる空中での操作性、そして着地(ランディング)での安定感、すべてが高バランスです。
ジブ(レールやボックス)に関しても、スタンス間のフラット構造がアイテム上で優れた安定性をもたらします。トーションが柔らかいため、ボードスライドなどの際にもコントロールが容易です。
ただし、カービングと同様に、中~大サイズのキッカー(10m以上)にハイスピードで突っ込むような場面では、フレックスの柔らかさが起因する不安定さが出る可能性があります。ゲレンデ内のパークで流しながら遊ぶスタイルに最適なボードと言えます。
パウダーライディングでの浮力
パウダー(新雪)ライディングの適性については、標準的か、やや苦手な部類に入ると評価します。
HI FIVEは基本的にツインシェイプであり、ノーズとテールが同じ長さです。パウダーで浮力を得るためには、ノーズが長くテールが短いディレクショナル(指向性のある)シェイプが有利です。
ハイブリッドキャンバー構造は、通常のキャンバーボードよりは浮きやすいものの、ロッカーボードや専用のパウダーボードには及びません。
パウダーが降った日に、コース脇の「サイドカントリー」を少し楽しむ程度であれば対応できますが、深い新雪をメインに滑りたい場合は、セットバック(ビンディングを後ろに下げる)を最大にするなどの工夫が必要です。
まとめ:総合的なHEAD・HI FIVEの評価とおすすめユーザー
HEAD「HI FIVE」の評価について、特徴とジャンル別の適性を解説してきました。最後に、この記事の要点をまとめます。
- HEAD「HI FIVE」はDCT 2.0形状が最大の特徴
 - DCT 2.0はボード中央が細く、優れたトーション(ねじれ)を生む
 - 非常に軽い力でボードを操作でき、ターンのきっかけが掴みやすい
 - 構造はハイブリッドキャンバーを採用
 - スタンス間はフラットで、足元から外側がキャンバー
 - プレス系のグラトリが非常に安定する
 - フレックスはミドル(5/10段階)で扱いやすい
 - トーションが柔らかいため、数値以上にしなやかに感じる
 - メンズモデルとレディースモデルが専用設計で展開
 - 六角形コア(Hexagonal Core)によりスイングウェイトが非常に軽い
 - スピン系のトリックが楽に行える
 - 得意ジャンルはフリーラン、グラトリ(特に乗り系)、パーク(小~中)
 - フリーランでは地形遊びや緩急をつけた滑りが楽しい
 - カービングは中速域までなら快適
 - パウダーライディングはやや苦手な部類
 - おすすめはスノーボードの操作を楽に習得したい初級者
 - ゲレンデ全体を使ってグラトリやパークを楽しみたい中級者
 
HI FIVE以外にも、HEADのスノーボードを全種類まとめた記事もあるため参考になれば幸いです。



























