【アウターシェル編】バックカントリー向けジャケットの選び方|GORE-TEXと主要ブランドを徹底比較

まさやん
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バックカントリーという厳しい環境下では、ウェア選びが快適性、ひいては安全性に直結します。特にアウターシェルは、雪や風から身を守る最も重要な装備の一つです。

しかし、いざバックカントリー向けアウターシェルのおすすめを探し始めると、多岐にわたる機能性や専門用語、そしてGORE-TEXをはじめとする様々な素材の違いに戸惑う方も少なくありません。

人気ブランドも数多く存在し、それぞれの特徴を比較して自分に最適な一着を見つけ出すのは、決して簡単なことではないでしょう。

この記事では、バックカントリー用アウターシェルの基本的な選び方から、知っておくべき専門的な機能、そして信頼できる主要ブランドの製品まで、網羅的に解説していきます。

この記事を読むことで、以下の点について深く理解できます。

要点
  • ハードシェルとソフトシェルの具体的な違い
  • GORE-TEXなど防水透湿素材の種類と特徴
  • バックカントリーで必須となる専門的な機能
  • 主要ブランドの製品比較とそれぞれの強み

失敗しないバックカントリーアウターシェルのおすすめな選び方

このセクションでは、アウターシェルを選ぶ上で基本となる素材の知識や、過酷な環境で快適性を維持するために不可欠な機能について詳しく解説します。

  • ハードシェルの特徴とアドバンテージ
  • ソフトシェルの特徴と適した環境
  • 防水性と透湿性を両立する3レイヤー
  • 絶対的な信頼性を誇るGORE-TEX
  • 快適さを保つベンチレーション機能
  • 雪の侵入を防ぐパウダースカート
  • 万が一に備えるRECCOテクノロジー

ハードシェルの特徴とアドバンテージ

ハードシェルとは、その名の通り硬質でハリのある生地で作られたアウターシェルのことです。最大の役割は、降雪、雨、強風といった外部の厳しい気象条件から身体を完全に保護することにあります。

主な理由として、生地に防水透湿性を持つ素材が用いられている点が挙げられます。これにより、外からの水分の侵入を完全にシャットアウトしながら、衣服の内部で発生した汗による水蒸気は外部へ排出する機能を持っています。

例えば、悪天候の稜線を歩く際や、深いパウダースノーを滑走する状況でも、身体を濡らさず、体温の低下を防ぐことが可能です。

ただし、ソフトシェルと比較すると生地の伸縮性が低いという側面もあります。そのため、動きやすさを少し犠牲にする場合がありますが、近年のモデルは立体裁断などの工夫により、動きづらさを大幅に改善しています。

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過酷な環境に挑むバックカントリーでは、この保護性能の高さが何よりも重要となり、ハードシェルが基本装備として選ばれることが多いです。

ソフトシェルの特徴と適した環境

ソフトシェルは、ハードシェルとは対照的に、伸縮性に富んだ柔らかい生地で作られたアウターを指します。最大の特徴は、その優れたストレッチ性と高い透湿性にあります。

身体の動きに追従するため、ハイクアップ(登高)中の大きな動きや、滑走時のダイナミックな体勢でもストレスを感じさせません。また、透湿性が非常に高いため、運動量の多い場面でかく汗を効率的に外部へ放出し、ウェア内部の蒸れを最小限に抑えることができます。

一方で、ソフトシェルは一般的に撥水加工が施されているものの、ハードシェルのような完全な防水性は備えていません。

そのため、降雪や雨が予想される天候には不向きです。ソフトシェルが最も活躍するのは、晴天時のハイクアップや、運動量の多い春先のバックカントリースキーなどです。

汗をかきやすいけれど、風は防ぎたいという状況に最適だと言えます。ハードシェルをザックに入れておき、天候や状況に応じて着替えるという使い方が賢明です。

防水性と透湿性を両立する3レイヤー

アウターシェルのカタログなどで見かける「3レイヤー」とは、生地の構造を示す言葉です。これは「表地」「防水透湿メンブレン」「裏地」という3つの異なる素材を圧着して一枚の生地にしたものを指します。

この構造により、多くのメリットが生まれます。まず、最も外側にある表地が耐久性を担い、雪や岩などとの摩擦からウェアを守ります。

中間層の防水透湿メンブレンは、水滴は通さず水蒸気だけを通過させる性質を持つ、ウェアの心臓部です。そして、肌に最も近い裏地が、メンブレンを皮脂や汚れから保護し、滑りを良くして快適な着心地を提供します。

3レイヤー構造は、防水性、透湿性、耐久性の全てを高次元でバランスさせているため、バックカントリー用の高機能なハードシェルの多くに採用されています。

他にも、裏地を省略した2.5レイヤーや、メンブレンを表地に直接コーティングした2レイヤーといった構造も存在しますが、厳しい環境下での信頼性を考えると、3レイヤーが最も適した選択肢となります。

レイヤー構造の比較

構造特徴メリットデメリット主な用途
3レイヤー表地、防水透湿膜、裏地を圧着高い防水性・透湿性・耐久性価格が高い、やや重いバックカントリー、厳冬期登山
2.5レイヤー表地に防水透湿膜を貼り、裏地に保護プリント軽量、コンパクト3レイヤーに比べ耐久性が劣るハイキング、レインウェア
2レイヤー表地に防水透湿膜を貼り、メッシュなどの裏地を付けるしなやか、比較的安価重い、かさばるゲレンデスキー、タウンユース

絶対的な信頼性を誇るGORE-TEX

GORE-TEX(ゴアテックス)は、多くのアウトドアブランドで採用されている、防水透湿素材の代名詞的な存在です。

その中核をなすのが「GORE-TEXメンブレン」という極めて薄いフィルムで、1平方センチメートルあたりに約14億個もの微細な孔が開いています。

この孔は水滴の2万分の1、水蒸気の700倍という大きさで、雨や雪の侵入を防ぎつつ、汗の蒸れは放出するという優れた機能を実現しています。

GORE-TEXにはいくつかの種類があり、用途に応じて最適なものが選べるようになっています。

主なGORE-TEXの種類

  • GORE-TEX PRO: 最も頑丈で耐久性が高いタイプです。過酷な環境下で長時間の使用を想定しており、プロのガイドやエクストリームな滑り手から絶大な信頼を得ています。生地にハリがあり、少しごわつきを感じることもありますが、その保護性能は随一です。
  • GORE-TEX Active: 最高の透湿性を追求したタイプです。運動量の多いアクティビティでの蒸れを最小限に抑えることを目的としており、ハイクアップが多いバックカントリースキーヤーに適しています。耐久性より軽量性と透湿性を優先した設計です。
  • GORE-TEX Paclite: 軽量性と収納性を重視したタイプです。裏地のかわりに特殊な保護層を施しており、非常にコンパクトになります。バックアップ用のレインウェアなどに使われることが多い素材です。

GORE-TEX以外にも、各アウトドアブランドが独自に開発した防水透湿素材(例:The North FaceのFUTURELIGHT、PatagoniaのH2No)も存在し、それぞれに特徴があります。

しかし、長年の実績と厳しい品質基準に裏打ちされたGORE-TEXの信頼性は、多くのユーザーにとって大きな安心材料となっています。

快適さを保つベンチレーション機能

ベンチレーションは、ウェア内部の熱や湿気を強制的に換気するためのジッパー(ファスナー)のことです。

特にバックカントリーでは、ハイクアップで大量の汗をかき、滑走時には冷たい風にさらされるという温度変化が激しいため、この機能が非常に大切になります。

最も一般的なのは、脇の下に配置された「ピットジップ」です。ここを開けることで、効率的に熱を逃がすことができます。

ジッパーがダブルスライダーになっているものであれば、開口部の大きさを細かく調整できて便利です。

また、近年のモデルでは、フロントジッパーを斜めに配置したり、胸ポケットがベンチレーションを兼ねる構造になっていたりすることで、ザックのショルダーハーネスに干渉せず、より効率的な換気を可能にする「クロスフロー」と呼ばれるシステムも登場しています。

適切なタイミングでベンチレーションを活用することで、汗冷えを防ぎ、常に快適な状態を維持することが可能になります。

雪の侵入を防ぐパウダースカート

パウダースカートは、ジャケットの裾の内側に取り付けられた、雪の侵入を防ぐためのパーツです。転倒した際や、深いパウダースノーを滑走する際に、腰回りから雪が入り込むのを防ぎ、身体が濡れたり冷えたりするのを防ぐ重要な役割を果たします。

バックカントリー用のモデルでは、このパウダースカートが標準装備されていることがほとんどです。

製品によっては、同じブランドのパンツと連結できる機能を備えているものもあります。これにより、ジャケットとパンツが一体化し、より確実に雪の侵入をブロックできます。

また、パウダースカートが不要な場合に取り外せる着脱式のタイプや、非常に軽量なゴムバンドだけのシンプルなタイプも存在します。

自分の滑りのスタイルや、使用する環境を考慮して、どのようなタイプのパウダースカートが最適かを確認することも、ウェア選びの一つのポイントです。

万が一に備えるRECCOテクノロジー

RECCO(レッコ)は、雪崩によって埋没した人を発見するために開発された遭難救助システムです。このシステムは、ウェアやブーツ、ヘルメットなどに埋め込まれた「リフレクター(反射器)」と、救助隊が使用する「ディテクター(探知機)」の2つで構成されています。

リフレクターは非常に軽量で小さく、電源も不要なため、ウェアに搭載されていても着用者が意識することはほとんどありません。

救助隊がディテクターから信号を発信すると、雪中のリフレクターがその信号を跳ね返し、ディテクターがその反射波を捉えることで埋没者の位置を特定します。

ただし、RECCOはあくまで救助隊が現場に到着してから使用される、受動的なシステムです。

バックカントリーで行動する際は、RECCOの有無にかかわらず、ビーコン、ショベル、プローブ(ゾンデ)といった「アバランチ三種の神器」を必ず携帯し、その使い方を習熟しておく必要があります。

RECCOは、これらの装備に加えて、発見される可能性を少しでも高めるための「保険」のようなテクノロジーと理解しておくのが適切です。

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ブランド別バックカントリーアウターシェルのおすすめ製品

ここからは、選び方のポイントを踏まえた上で、信頼と実績のある主要ブランドから、具体的なおすすめモデルを紹介します。

  • ARC’TERYX セイバージャケット
  • BURTON [ak] スワッシュジャケット
  • NORRONA ロフォテン GORE-TEX Pro
  • THE NORTH FACE パウダーガイドジャケット
  • Jones Snowboards Shralpinist Jacket
  • FW Manifest Tour 3L Jacket

ARC’TERYX・セイバージャケット

アークテリクスが展開するスノーカテゴリの中でも、特にフリーライドを意識して設計されたモデルがセイバージャケットです。

素材には、高い耐久性と防水透湿性を誇るN80p-X GORE-TEX 3Lを採用し、裏地には微起毛のフランネルバッカーを配置することで、適度な保温性と快適な着心地を提供します。

動きやすさを追求した立体裁断と、ザックに干渉しないポケット配置、そしてヘルメット対応のStormHood™など、バックカントリーで求められる機能が凝縮されています。

シンプルで洗練されたデザインは、長年にわたって愛用できる一着と言えるでしょう。

BURTON [ak] ・スウォッシュジャケット

スノーボード界を牽引するBURTONのハイエンドライン「[ak]」シリーズの代表的なモデルです。防水透湿性素材として、信頼性の高いGORE-TEX Pro 2Lを採用。

特筆すべきは、ベストのように体のコア部分にのみ配置された「PrimaLoft®」インサレーションです。これにより、保温性を確保しつつ、腕周りの動きやすさと軽量化を実現しています。

豊富なポケットや、人間工学に基づいた立体裁断など、ライダーのことを知り尽くしたBurtonならではの機能が満載です。

バックカントリーからゲレンデまで、幅広いシーンで最高のパフォーマンスを発揮します。

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NORRONA・ロフォテン GORE-TEX Pro

ノルウェー発のアウトドアブランド、ノローナのアイコン的存在が、このロフォテン GORE-TEX Proジャケットです。素材には、最高レベルの防水透湿性と耐久性を備えたGORE-TEX Pro Most Breathable 3Lを採用しています。

特徴的なアシンメトリーな袖口のデザインや、胸元の大きなベンチレーションジッパーなど、独創的かつ実践的な機能が盛り込まれています。

厳しい北欧の自然環境でテストされたその性能は、日本のバックカントリーフィールドでも絶大な信頼を置けます。鮮やかなカラーバリエーションも魅力の一つです。

THE NORTH FACE・パウダーガイドジャケット

プロのスキー・スノーボードガイドからのフィードバックを基に開発された、非常に堅牢なジャケットです。素材には、GORE-TEX Pro 3Lを採用し、特に摩耗しやすい肩や肘の部分には、より強度の高い生地を使用しています。

無線機を収納するための専用ポケットや、大型のチェストポケットなど、ガイドの要求に応えるプロフェッショナルな仕様が特徴です。

ザックを背負った状態での使いやすさが徹底的に追求されており、長時間の活動でもストレスを感じさせません。ハードな使用にも耐えうる一着を求める方におすすめです。

Jones Snowboards・ストームプルーフ・ジャケット

伝説的スノーボーダー、ジェレミー・ジョーンズが率いるブランド、Jones Snowboardsのバックカントリー向けジャケットです。

このモデルは、100%リサイクルポリエステルから作られた独自の高性能な生地を使用しており、環境への負荷を最小限に抑えつつ、高い防水性と透湿性を実現しています。

ハイクアップ時の動きやすさを考慮した立体裁断と、軽量ながらも必要な機能をすべて備えたミニマルなデザインが特徴です。ブランドの哲学が色濃く反映された、真摯に雪山と向き合うライダーのためのウェアと言えます。

FW・マニュフェストツアー 3L ジャケット

FW(Future Wild)は、ミニマリズムと機能性を追求する新進気鋭のアウトドアブランドです。Manifest Tour 3L ジャケットは、その名の通り、バックカントリーツアーに特化して設計されています。

素材には、高い透湿性としなやかさを持つDermizax EV 3Lを採用。非常に軽量でありながら、必要な耐久性を確保しています。

無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインと、計算され尽くしたカッティングは、動きの自由度を最大限に高めます。先進的なデザインと機能性を求めるライダーに最適な一着です。

まとめ:おすすめなバックカントリーアウターシェルについて

この記事では、バックカントリー向けアウターシェルの選び方から、具体的なおすすめモデルまでを詳しく解説しました。最後に、最適な一着を見つけるための重要なポイントをまとめます。

  • バックカントリーでは防水性と透湿性の両立が不可欠
  • 耐水圧は20,000mm以上、透湿度は15,000g/m²/24h以上が目安
  • GORE-TEX Proは最も信頼性の高い素材の一つ
  • 耐久性と機能性で選ぶなら3レイヤー(3L)構造が最適
  • ハイクアップ時の体温調節にはベンチレーションが必須
  • フードはヘルメットに対応しているか必ず確認する
  • ザックのベルトと干渉しないチェストポケットが便利
  • パウダースカートは雪の侵入を防ぐ重要な機能
  • RECCOはビーコンの代わりにはならない補助的な安全装置
  • フィット感はレイヤリングと動きやすさを考慮して選ぶ
  • ARC’TERYXは品質とデザイン性で高い評価を得ている
  • Burton [ak]はスノーボーダー目線の機能が豊富
  • Patagoniaは環境配慮と機能性を両立
  • NORRONAは厳しい環境でテストされたプロ仕様
  • THE NORTH FACEはガイドの意見を取り入れた堅牢な作り
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まさやん
フリーランス歴5年の横乗りライダー。ブログ運営・コンサルティングを生業として活動中。冬はスノーボード、夏はスケートボードたまにSUPを楽しんでいます。スノーボードは年間30~50日ほど滑走。ホームは中国地方。冬には数週間単位で長野・北海道に生息。SnowboardHack運営者。
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