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【LIBTECH】T.RICE APEX ORCAの評価はパウダーを制する究極の浮力と操作性

まさやん
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LIBTECHが誇るハイエンドモデル、T.RICE APEX ORCAの購入を検討しているけれど、価格も高価なだけに失敗や後悔はしたくない、と考えているのではないでしょうか。

実際の乗り心地や性能について、試乗した人のレビューや口コミ、インプレを含むリアルな評判が気になるところだと思います。

この記事では、T.RICE APEX ORCAの持つ独自の特徴や技術的な性能を徹底的に解説します。

さらに、メリットやデメリットを明確にし、パウダーからカービング、フリーランまで、どんなライディングスタイルにおすすめなのかを明らかにしていきます。ライバルとなるモデルとの比較も交えながら、あなたの疑問を解消します。

要点
  • APEX ORCAの独自スペックと技術的な特徴
  • パウダーやフリーランなど得意なジャンルでの性能
  • カービングやグラトリなど他のジャンルでの適性
  • 購入前に知っておきたいメリットとデメリット

LIBTECH・T.RICE APEX ORCAのスペック評価

T.RICE APEX ORCAの具体的なスペックについて、まずは以下の表で全体像を確認してみましょう。このボードが持つポテンシャルの一端が見えてくるはずです。

項目スペック詳細
シェイプディレクショナル
形状C2X(ハイブリッドキャンバー)
フレックス7/10 (ミディアムスティフ)
コアAPEX Honeycomb / Balsa / Aspen / Paulownia Core
ファイバーSpread-Toe Carbon / 33° Carbon Mesh / Magnesium
エッジマグネトラクション(波刃形状)
ベースSintered Knife-Cut Base
推奨スタイルフリーライディング、パウダー

ハイブリッドなC2X構造の特性

LIBTECH T.RICE APEX ORCAの乗り心地を語る上で、C2X構造は欠かせない要素です。これは、ボードの中央部分がロッカー形状で、両足元から外側にかけてキャンバー形状が配置されたハイブリッド構造を指します。

この構造の最大の理由は、パウダーでの浮力と圧雪バーンでの操作性や反発力を両立させることにあります。まず、中央のロッカー部分がパウダーの中でボードを自然に浮き上がらせ、サーフィンのようなスムーズな滑りを可能にします。

一方で、両足元に配置されたキャンバー部分は、ターン時にエッジを雪面にしっかりと食い込ませる役割を果たし、キレのあるカービングやオーリー時の反発力を生み出します。

ただし、デメリットとして、純粋なフルキャンバーボードと比較すると、反発力の最大値では一歩譲る場合があります。そのため、反発力を極限まで求めるコンペティション志向のライダーにとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、多様な雪質を滑るフリーライディングにおいては、このバランスの良さが大きな武器となります。

唯一無二のマグネトラクションエッジ

マグネトラクションエッジは、LIBTECHの代名詞とも言える画期的な技術です。これは、サイドカーブに沿って7つのコブが配置された波刃状のエッジのことで、まるでステーキナイフのように雪面、特に硬いアイスバーンに食いつきます。

この技術がもたらす最大のメリットは、圧倒的なエッジグリップ力です。実際にアイスバーンを滑ってみると、普通のエッジでは抜けてしまいそうな状況でも、足元がしっかりと安定する感覚を味わえます。

この安心感があるからこそ、ライダーはより深くボードを倒し込み、アグレッシブなライディングに挑戦できるのです。

一方で、注意点も存在します。この強力なグリップ力は、ジブや一部のグラトリのように、意図的にエッジをずらして滑らせる動きにはあまり向いていません。

レールやボックスの上でエッジが予期せず引っかかり、転倒のリスクを高める可能性があります。あくまでも雪面を捉えるための技術であると理解しておくことが大切です。

軽量なカーボンの使用によるメリット

APEX ORCAが通常モデルと一線を画す大きな理由の一つが、カーボン素材の惜しみない使用です。特に、航空宇宙分野でも使用されるスプレッドトゥカーボンを採用することで、ボード全体の軽量化と反発性能の向上を両立させています。

この軽量化がもたらす恩恵は計り知れません。まず、スイングウェイトが軽くなるため、スピン系のトリックや素早いボードコントロールが格段に行いやすくなります。また、長時間のライディングやリフト乗車時における足への負担が軽減されるのも、見逃せないポイントです。

さらに、カーボンは反発性能を高める効果もあります。オーリーをかけた際には、少ない力で高い反発を得られ、キッカーでのアプローチでも安定した踏み切りをサポートします。

ただ、カーボンを多用することで乗り味が硬くなる傾向があり、乗り手の脚力を要求する側面も持ち合わせています。そして何より、これが価格が高くなる大きな要因の一つであることも事実です。

ノーズ形状が生み出す圧倒的な浮力

ORCAシリーズに共通する最大の特徴は、その独特なノーズ形状にあります。通常のスノーボードよりも幅広で長く設計されたノーズは、まるでサーフボードを彷彿とさせます。

この形状は、パウダーライディングにおいて絶大な効果を発揮します。広い面積を持つノーズが雪の抵抗を効率的に受け流し、ボード全体を力強く浮き上がらせるのです。これにより、ライダーは後足に過重をかけ続ける必要がなくなり、自然なスタンスのまま深雪の中を滑り抜けることができます。

実際にディープパウダーを滑ると、ノーズが雪に突き刺さる感覚がほとんどなく、まるで雪の上を滑空しているかのような浮遊感を体験できます。この浮力性能の高さこそ、多くのライダーがORCAシリーズに魅了される理由と言えるでしょう。

短いテールがもたらす高い操作性

APEX ORCAは、浮力を生む大きなノーズとは対照的に、テールは短くカットされた形状をしています。これは「ホエールテールテクノロジー」と呼ばれ、高い操作性を実現するための重要な設計です。

この設計の狙いは、有効エッジの長さを確保しつつボードの全長を短く抑えることで、クイックなターンを可能にすることにあります。

特に、木の密集したツリーランや、複雑な地形での滑走において、この短いテールがもたらす機敏な操作性が光ります。まるで自分の足のようにボードを振り回せる感覚は、一度味わうと病みつきになります。

ただし、このディレクショナル形状は、スイッチスタンス(利き足と逆の足で滑ること)にはあまり向いていません。

テールが短いため、スイッチでのランディングや滑走は不安定になりがちです。フリースタイルな動きを多用するライダーは、この点を考慮する必要があります。

C2X構造による十分な反発力

前述の通り、APEX ORCAはC2Xというハイブリッド構造を採用していますが、これが十分な反発力を提供することも忘れてはなりません。

中央のロッカー形状から、乗り心地がルーズなのではないかと想像するかもしれませんが、両足下に配置されたキャンバー部分がその懸念を払拭します。

ターンやオーリーでボードにしっかりと圧をかけると、このキャンバー部分がバネのように機能し、力強い反発を生み出します。

この反発力があるからこそ、ただパウダーを滑るだけのボードではなく、圧雪バーンでのダイナミックなカービングや、地形を利用したジャンプなど、アグレッシブなフリーライディングが可能になるのです。

ロッカーボードの操作性とキャンバーボードの反発力、この二つの要素を高次元で融合させたC2X構造は、APEX ORCAをオールマウンテンで活躍する一本に仕上げています。

ジャンル別LIBTECH・T.RICE APEX ORCAの評価

APEX ORCAが持つスペックが、実際のライディングシーンでどのように活かされるのか、ジャンル別に評価していきましょう。得意なジャンルとそうでないジャンルを理解することで、このボードが本当に自分に合っているかが見えてきます。

ジャンル評価 (5.0満点) コメント
カービングマグネトラクションによるグリップが強力。キレと安定感を両立。
フリーラン圧雪から非圧雪、地形まであらゆる状況で最高のパフォーマンスを発揮。
パウダーこのボードの真骨頂。圧倒的な浮力と操作性は他の追随を許さない。
グラトリ(弾き系)反発力はあるが、硬さと形状から専門の板には及ばない。
グラトリ(乗り系)プレス系の技はフレックスと形状の面で難しい。
ラントリ地形を使った遊びは得意だが、フラットでのトリックは不向き。
キッカー(小~中)安定したアプローチと十分な反発力で楽しめる。
キッカー(中~大)スイッチランディングが不安定なため、高回転スピンには注意が必要。
ジブマグネトラクションエッジが引っかかりやすく、推奨できない。

パウダーライディングでの高い性能

結論から言えば、パウダーライディングはT.RICE APEX ORCAが最も輝くステージです。このボードの性能を100%引き出したいのであれば、降雪後の非圧雪エリアに飛び込むのが一番です。

前述の通り、幅広のノーズ形状が生み出す圧倒的な浮力と、短いテールによるクイックな操作性の組み合わせは、パウダーライディングのためにあると言っても過言ではありません。

どんな深雪に突っ込んでもノーズが沈む気配がなく、まるで雪上をサーフィンしているかのような感覚を味わえます。特に、タイトなツリーランでのコントロール性能は素晴らしく、意のままにラインを描くことが可能です。

多くのボードでは後ろ足に重心を置いて滑る必要がありますが、APEX ORCAではその必要がほとんどありません。自然なポジションで一日中滑っても疲れにくい点は、パウダーを愛するライダーにとって大きなメリットとなるでしょう。

フリーランで感じる板の走破性

APEX ORCAは、パウダー専用機というわけではありません。ゲレンデ内の圧雪バーンを滑るフリーランにおいても、非常に高い性能を発揮します。その理由は、様々な雪質に対応できる走破性の高さにあります。

朝一番の綺麗に整備されたグルーミングバーンでは、気持ちの良いカービングターンを楽しめます。そして、時間が経ってゲレンデが荒れてきても、マグネトラクションエッジと適度な硬さを持つボードが雪面の凹凸をものともせず、安定した滑走を維持してくれます。

また、コース脇の壁や自然の地形を使って遊ぶのも得意です。ボードの反発力を利用してジャンプしたり、壁に当て込んだりと、ゲレンデ全体を遊び場に変えてくれるポテンシャルを持っています。まさに「究極のフリーライディングボード」と呼ぶにふさわしい一本です。

カービングのキレと安定感はどうか

フリーラン性能が高いということは、必然的にカービング性能も高いレベルにあるということです。特にAPEX ORCAのカービングは、マグネトラクションエッジの恩恵を強く感じることができます。

ターン中にボードを立てていくと、波刃状のエッジがガッチリと雪面を捉え、一切の不安なく体を預けることができます。

このグリップ力は、特に硬く締まったバーンやアイスバーンで真価を発揮し、他のボードでは躊躇してしまうようなコンディションでも、攻めたカービングを可能にします。

ただし、カービング競技で使用されるようなハンマーヘッド形状のボードと比較すると、ターンの導入や抜けの速さでは劣る部分もあります。

あくまでもフリーライディングの中でのカービング性能が高いという位置づけであり、純粋な速さを追求するボードではないことを理解しておくと良いでしょう。

パークでの使用感と注意点

APEX ORCAでパークアイテムを楽しむことは可能でしょうか。答えは「アイテムによる」となります。

まず、キッカーに関しては、中・小規模のものであれば十分に楽しむことができます。ボードが持つ高い反発力はジャンプで高さを出すのに役立ち、アプローチでの安定感も申し分ありません。

しかし、ディレクショナル形状のため、スイッチでの着地にはやや不安定さが伴います。高回転スピンを多用するライダーには注意が必要です。

一方で、ジブ(レールやボックス)への使用は、あまりおすすめできません。その最大の理由は、マグネトラクションエッジです。

この特殊な形状のエッジは、人工物に非常に引っかかりやすく、思わぬ転倒を招くリスクがあります。パークを総合的に楽しみたいのであれば、専用のツインチップボードを選ぶ方が賢明です。

グラトリはどこまで対応できるか

では、グラトリの適性はどうでしょうか。残念ながら、APEX ORCAはグラトリにはあまり向いていないボードと言えます。

その理由はいくつかあります。まず、ディレクショナル形状であるため、スイッチスタンスでのトリックがやりにくいこと。

次に、フレックスが硬めなので、ボードをしならせて使うプレス系の技が難しいこと。そして、パーク同様、マグネトラクションエッジが意図しない引っかかりを生む可能性があることが挙げられます。

もちろん、オーリーやノーリーといったシンプルな弾き系の技は可能ですが、専門のボードと比較すると、そのやりやすさには大きな差があります。

グラトリをメインにスノーボードを楽しみたいと考えているライダーは、他のモデルを検討することをおすすめします。

総括:LIBTECH・T.RICE APEX ORCAの総合評価

この記事で解説してきたT.RICE APEX ORCAの特徴と性能について、最後に重要なポイントをまとめます。

  • APEX ORCAはパウダーとフリーランに特化した最高峰モデル
  • C2X構造が浮力と操作性、反発力を見事に両立
  • マグネトラクションエッジが圧巻のエッジグリップ力を提供
  • 特にアイスバーンでの安定感は特筆すべき点
  • カーボン素材の多用により軽量化と高反発を実現
  • 幅広で長いノーズ形状がパウダーで抜群の浮力を生む
  • 短いテール設計がツリーランなどでクイックな操作性を可能に
  • 圧雪バーンでのカービング性能も非常に高いレベル
  • ゲレンデのあらゆる雪質に対応できる高い走破性を持つ
  • 中規模までのキッカーであればジャンプも楽しめる
  • 一方でグラトリやジブといったフリースタイルな動きには不向き
  • ディレクショナル形状のためスイッチ滑走は得意ではない
  • 乗りこなすにはある程度の脚力とスキルが求められる中上級者向けのボード
  • 価格は高価だが、その性能は価格に見合う価値がある
  • 最高のフリーライディング体験を求めるライダーにとって理想の一本
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まさやん
まさやん
フリーランス歴5年の横乗りライダー。ブログ運営・コンサルティングを生業として活動中。冬はスノーボード、夏はスケートボードたまにSUPを楽しんでいます。スノーボードは年間30~50日ほど滑走。ホームは中国地方。冬には数週間単位で長野・北海道に生息。SnowboardHack運営者。
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