【HEAD】SOLACEの評価を徹底分析!軽量・高反発・操作性を両立!
HEAD「SOLACE(ソーレス)」の評価が気になっているけれど、自分の滑りに本当に合うのか不安。「購入して失敗や後悔をしたくない」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、「SOLACE」が持つ技術的な特徴からフリーラン、カービング、グラトリ、パウダーといった主要なジャンルでどのような性能を発揮するのかを、客観的な視点で徹底的に解説します。
ご自身のスタイルに最適な一枚かを見極める参考にしてください。
- SOLACE独自の構造(ハイブリッドキャンバーポップやLYTテック)の概要
- フリーランやカービングにおける安定性と操作性
- グラトリやパークでの反発力(ポップ)と軽量性
- パウダーやジブなど特定ジャンルでの向き不向き
HEAD・SOLACEのスペック詳細と評価
ここでは、HEAD「SOLACE」の技術的な特徴や基本スペックについて、その評価を詳しく見ていきます。
| 項目 | スペック / 評価 (10段階) | 備考 |
|---|---|---|
| 対象 | 女性 | 公式ではウィメンズモデル(中級〜上級) |
| サイズ感 | 標準的 | 一般的な身長・体重に合わせた選択で問題ない設計 |
| 硬さ | 6 / 10 | 硬すぎず柔らかすぎないミディアムフレックス |
| 重さ | 3 / 10 | LYTテックとグラフェンにより非常に軽量 (10が最重) |
| 締め付け力 | 6 / 10 | ※エッジホールドやレスポンスのダイレクト感の目安 (10が最強) |
ハイブリッドキャンバーポップとは?
HEAD「SOLACE」の最大の特徴の一つが、この「ハイブリッドキャンバーポップ」という構造です。これは、スノーボードの形状に関する専門用語になります。
具体的には、両足のビンディング下(足元)にそれぞれキャンバー(弓なりに反った部分)を配置し、板のセンター(中央部分)はフラット(平ら)に設計されています。
この構造がもたらすメリットは明確です。 足元のキャンバーがエッジグリップと高い反発力(オーリーの高さ)を生み出し、カービングやジャンプで力を発揮します。
一方で、センター部分がフラットであるため、パウダーでの多少の浮力補助や、ジブ・グラトリでのプレス(板をしならせる動作)時の安定感も両立させています。
キャンバーの反発力とフラットの操作性を併せ持つ、まさに「ハイブリッド」な構造と言えます。
トゥルーツイン形状の操作性
SOLACEは「トゥルーツイン」形状を採用しています。 トゥルーツインとは、板の形状、フレックス(硬さ)、重心がノーズ(先端)からテール(後端)まで完全に左右対称である設計を指します。
この形状の利点は、レギュラースタンス(左足が前)でもスイッチスタンス(右足が前)でも、全く同じ乗り心地で操作できる点にあります。
そのため、スピン系のグラトリや、スイッチでのランディング(着地)、パークでのトリックなど、進行方向を頻繁に変えるフリースタイルな滑りに最適です。
逆に言えば、パウダーランや高速フリーランのみを追求するディレクショナル形状(進行方向が決まっている板)と比べると、超高速域での安定性やパウダーでの浮力は一歩譲る側面もあります。
LYTテックによる軽量化の秘密
「LYTテック (LYT TECH)」は、HEADが独自に開発した軽量化技術の総称です。 スノーボードにおいて「軽さ」は、操作性、特にスピンやジャンプ、長時間のライディングでの疲労軽減に直結する重要な要素となります。
LYTテックは、特定の素材一つを指すのではなく、コアの素材選定や形状、後述するグラフェンなどの先進素材を組み合わせることで、板の強度や反発力を犠牲にすることなく、劇的な軽量化を実現する設計思想です。
実際にSOLACEを手に取ってみると、その軽さに驚かされるユーザーも多いようです。この軽さが、スイングウェイト(板を振った時の重さ)の軽減に繋がり、グラトリやパークでの素早い動きをサポートします。
グラフェン素材がもたらす反発力
SOLACEには「グラフェン (Graphene)」という先進素材が組み込まれています。 グラフェンは、非常に薄く軽量でありながら、鋼鉄の数倍とも言われる強度を持つ夢のような素材として注目されています。
スノーボードにこの素材を使用することで、主に2つのメリットが生まれます。 第一に、前述のLYTテックとも関連しますが、板の強度を保ちつつコア材を薄くできるため、さらなる軽量化に貢献します。
第二に、その高い張力(元の形に戻ろうとする力)が、スノーボードの反発力、つまり「ポップ力」を劇的に向上させます。
オーリーやノーリー(板の反発を使ったジャンプ)の高さが出やすく、少ない力で高いパフォーマンスを引き出せるのが、グラフェン搭載モデルの強みです。
軽量ウッドコアの乗り心地
スノーボードの乗り味の核となるのが「ウッドコア(芯材)」です。SOLACEには、特別に選定された軽量な木材を使用した「軽量ウッドコア」が採用されています。
素材を軽量化しつつも、必要なフレックス(板のしなり)とトーション(板のねじれ)、そして耐久性を確保するために、異なる種類の木材を組み合わせるのが一般的です。
HEADは長年の経験に基づき、ポプラなどの軽量で反発力のある木材をバランス良く配置しています。
これにより、ただ軽いだけでなく、しなやかで粘りのある乗り心地と、ターン時のスムーズな操作感を実現しています。グラフェンとの相乗効果で、板のレスポンスも良好です。
推奨されるフレックスとトーション
SOLACEのフレックス(板全体の硬さ)とトーション(板のねじれやすさ)は、公式サイトによると10段階中「6」とされており、ミディアムフレックスに分類されます。
フレックス(硬さ):6/10
硬すぎず、柔らかすぎない絶妙なバランスです。 硬さが6あることで、高速でのフリーランやカービング中でも板がバタつきにくく、安定したエッジホールドを発揮します。
同時に、グラトリでプレスをしたり、地形遊びで板を操作したりするのに必要な「しなり」も確保されています。
トーション(ねじれ):6/10
トーションもミディアム設定です。トーションが適度にある(ねじれやすい)と、ターンの導入がスムーズになり、低速でも板をコントロールしやすくなります。
逆に強すぎると、高速域での安定感が増す代わりに、低速での操作が難しくなる傾向があります。
フレックスとトーションが共に「6」という設定は、オールラウンドな滑りに対応するためのバランスの取れた設計思想を示しています。
対応するビンディングと推奨セッティング
SOLACEは非常に汎用性の高いトゥルーツインボードであるため、多くのビンディングと組み合わせることが可能です。
推奨されるのは、板のレスポンスやフレックスに合わせて、ミディアムフレックスのビンディングです。例えば、HEADのラインナップであれば、操作性とサポート力のバランスが良い「NX FAY」シリーズや、よりレスポンスを求めるなら「NX SIX」などが候補に挙がります。
セッティング(スタンス幅やアングル)については、フリースタイル向けの板であるため、左右対称の角度(例:+15° / -15°のダックスタンス)が基本となります。
これにより、トゥルーツインの性能を最大限に活かし、スイッチスタンスでの滑走やトリックが容易になります。
HEAD・SOLACEの得意ジャンル別評価
ここでは、SOLACEがスノーボードの各ジャンルにおいてどのような評価を受けるのか、その適性を詳しく解説します。
| ジャンル | 評価 (5.0点満点) | 備考 |
|---|---|---|
| カービング | ミドル~ショートターンが得意。ハイスピード域も安定 | |
| フリーラン | 軽量で操作性が良く、地形遊びやゲレンデクルーズに最適 | |
| パウダー | 形状的に浮力は限定的。ディープパウダーは不向き | |
| グラトリ(弾き系) | 軽量・高反発で、高さのあるトリックをサポート | |
| グラトリ(乗り系) | センターフラットがプレス時の安定感に貢献 | |
| ラントリ | カービングとグラトリ(弾き系)を高次元で両立 | |
| キッカー(小~中) | 軽量でスイングウェイトが軽く、アプローチも安定 | |
| キッカー(中~大) | 巨大キッカーでの着地安定性は専用モデルに劣る | |
| ジブ | センターフラットは有利だが、ジブにはやや硬め |
フリーランにおける安定性と走破性
ゲレンデ全体を自由に滑るフリーランにおいて、SOLACEは非常に高い適性を示します。 ミディアムフレックスと足元のキャンバー構造が、圧雪バーンでしっかりとしたエッジグリップを提供し、安定した滑走が可能です。
また、特筆すべきはその「軽さ」です。LYTテックによる軽量な板は、長時間のライディングでも疲れにくく、細かい地形の変化にもクイックに反応できます。壁やバンク(斜面)を使った遊びや、ゲレンデ脇のちょっとした非圧雪エリアへの対応力も持ち合わせています。
ただ、超高速域で荒れたバーンに突っ込むようなハードなフリーランでは、板の軽さが逆に作用し、多少のバタつきを感じる可能性はあります。中級者がゲレンデを楽しみ尽くすパートナーとしては、素晴らしい性能を発揮します。
カービングのキレとエッジホールド
カービング性能に関しても、SOLACEは期待に応えてくれます。 「ハイブリッドキャンバーポップ」構造の足元キャンバー部分が、ターン中に雪面を力強くグリップします。これにより、キレのあるターンが可能です。
特に、ミドルターンやショートターンでのクイックな切り返しは、この板の得意とするところでしょう。実際に踏み込んだ際の、キュッと雪面を掴んで板が返ってくる感覚は、非常に気持ちが良いものです。
ただし、これはトゥルーツインボードの特性でもありますが、ハンマーヘッド形状のようなカービング専用機と比較すると、超高速域でのロングターンの伸びや安定感は異なります。フリースタイルボードの枠の中では、高いカービング性能を持つモデルと評価できます。
パウダー(非圧雪)での浮力
パウダー(非圧雪)での性能については、SOLACEの得意分野とは言い難い面があります。 その理由は、トゥルーツイン形状であること、そしてキャンバーベースの構造であるためです。
パウダーランで最も重要な「浮力」を生み出すのは、ノーズ(先端)が大きく反っているロッカー形状や、ノーズがテールより長いディレクショナル形状です。
SOLACEはこれらの特徴を持たないため、ディープパウダーではノーズが雪に刺さりやすく、後ろ足に重心を置くなどの操作技術が求められます。
ゲレンデ脇に残った「サイドパウダー」を軽く楽しむ程度であれば問題ありませんが、パウダーランをメインに考えている場合は、他のモデルを検討する方が賢明かもしれません。
グラトリ・ラントリの操作性
グラトリやラントリ(カービングとグラトリの融合)は、SOLACEが最も輝くジャンルの一つです。
弾き系トリック
グラフェン素材とキャンバー構造が生み出す高い反発力(ポップ)は、オーリーやノーリーで高さを出す「弾き系」トリックに最適です。LYTテックによる軽さも、スピン(回転系)トリックの回転速度を上げるのに大きく貢献します。
乗り系トリック
センター部分がフラットになっているため、プレス(板の先端や後端に乗る)やバター(プレスしながら回転する)といった「乗り系」トリックでも、安定した土台を提供してくれます。センターフラットのおかげか、プレスも非常にやりやすい印象を受けます。
カービングのキレも良いため、ターンでタメを作り、そこからトリックに繋げる「ラントリ」との相性も抜群です。
パーク・キッカーでの反発力
パーク、特にキッカー(ジャンプ台)においても、SOLACEは優れたパフォーマンスを発揮します。 グラトリ適性と共通しますが、軽量で反発力が強いという特徴は、キッカーのアプローチ(助走)での安定性と、抜け(ジャンプの瞬間)でのポップ力に直結します。
スイングウェイトが軽いため、空中でのスピンも非常にコントローラブルです。 ミディアムフレックスは着地の安定感にも貢献し、特に小~中サイズのキッカーで練習する中級者や、トリックの完成度を高めたい上級者にとって、強力な武器となるでしょう。
ただし、評価表にもある通り、20メートルを超えるような巨大キッカーでは、板の軽さゆえの安定性不足を感じる可能性はあります。
ジブでの取り回しと耐久性
ジブ(レールやボックスなどの人工物を擦る)に関しては、得意とも不得意とも言えない、中間の評価となります。
メリットとしては、センターフラット構造がアイテムの上で安定しやすい点、トゥルーツインがスイッチでのアプローチや着地を容易にする点が挙げられます。
一方で、デメリットは、フレックス6という硬さです。ジブ専用モデルの多くは、より柔らかいフレックス(3~5程度)を採用しており、アイテムに板を「当て込む」動作が容易です。
SOLACEはジブもこなせますが、硬さがあるため、ある程度のスピードとパワーでアイテムを攻略する必要があります。パーク全体を流す中でジブにも入る、という使い方に向いています。
総括:HEAD「SOLACE」 評価のポイント
最後に、この記事で解説したHEAD「SOLACE」の評価に関する重要なポイントをまとめます。
- HEAD「SOLACE」はウィメンズの中級〜上級者向けモデル
- ハイブリッドキャンバーポップ構造を採用
- 足元のキャンバーが反発力とエッジグリップを生む
- センターフラットがプレスや操作の安定性に寄与
- トゥルーツイン形状でスイッチスタンスも自在
- LYTテックとグラフェンにより驚くほど軽量
- スイングウェイトが軽くスピンや操作が容易
- フレックスとトーションは共に10段階中6のミディアム設定
- フリーランや地形遊びで高い操作性を発揮
- カービングはミドル~ショートターンが得意
- グラトリやラントリに非常に高い適性を持つ
- 弾き系・乗り系ともにバランス良く対応可能
- 小〜中サイズのキッカー(パーク)で性能を発揮
- パウダー(特にディープパウダー)は浮力が不足しがち
- オールラウンドにゲレンデを楽しみたいフリースタイラーに最適
SOLACE以外にも、HEADのスノーボードを全種類まとめた記事もあるため参考になれば幸いです。



























