【BATALEON】CARVERの評価はパウダー・カービングに特化したボード!

BATALEON「CARVER」について、その評価に関心をお持ちの方も多いでしょう。革新的な技術で知られるバタレオンが送り出すこのCarverモデルは、特にカービング性能を追求して設計されています。
独自の3BT(Triple Base Technology)構造と、パワー伝達に優れたキャンバープロファイル、そしてターン後半で粘るディレクショナルシェイプの組み合わせが、切れ味鋭いターンと卓越した高速安定性を実現すると言われています。
この記事では、BATALEON「CARVER」の詳しいスペックや採用されている技術、実際の滑走性能に関する評価、そしてどのようなレベルのライダーに適しているのかを徹底的に解説します。硬めのフレックス設定やカーボン構造、シンタードベースといった特徴がライディングにどう影響するのか、その詳細に迫ります。
BATALEON「CARVER」のスペックと技術的な評価
対象 | メンズ |
形状 | キャンバー |
シェイプ | ディレクショナル |
ボードの硬さ | 10段階中6(普通) |
対象レベル | 初心者から中級者 |
サイズ | 158 |
独自技術「Triple Base Technology」とは?
BATALEON「CARVER」の評価に欠かせないのが、ブランド独自のソール形状技術「Triple Base Technology」、通称3BTです。これは、スノーボードの滑走面をノーズとテール部分で3つの面に分ける画期的な構造を指します。
具体的には、ボード中央部は平らなまま、その左右両サイドが船底のように緩やかに持ち上がっている(アップリフト)のが特徴と言えます。
この独特な形状により、ボードがフラットな状態では左右のエッジが雪面からわずかに浮き、意図しないエッジの引っかかり(逆エッジ)を劇的に低減してくれるのです。
さらに、ターンの始動が非常にスムーズになる点も大きな利点となります。軽い力でターンに入ることができ、圧雪バーンでも軽快な切り返しを可能にします。加えてパウダーでの浮力向上にも貢献するため、多様なメリットを持つ技術と言えるでしょう。
カービング向けFreeride 3BT + Sidekick
BATALEON「CARVER」に採用されている3BTは、数ある種類の中でも特にカービングに適した「Freeride 3BT」と呼ばれるタイプです。ゲレンデでの自由なライディング、とりわけキレのあるターンに最適化されています。
このFreeride 3BTの特徴は、ノーズ側のサイドベースの持ち上がりは中程度にしつつ、テール側は低めに抑えている点です。これにより、様々な雪質への対応力を保ちながら、ターン後半でエッジが雪面をしっかりと捉え、カービングに必要なグリップ力を確保します。
他の3BT形状と比較して中央のフラットベース部分がやや狭いため、より素早くエッジへ力を伝えられます。
また、近年は「Sidekick」という技術も組み合わさり、ノーズとテールの最も幅が広い部分でサイドベースの持ち上がりをさらに強調しています。これがターンのきっかけ作りを一層スムーズにし、CARVERの鋭いカービングと扱いやすさを両立させているのです。
パワー伝達を高めるキャンバープロファイル
BATALEON「CARVER」が力強いカービングを可能にする背景には、しっかりとした「キャンバープロファイル」の存在があります。キャンバーとは、ボードを平らな場所に置いた際、中央部分が弓なりに浮き上がる形状を指します。
この反りが、ボードを踏み込んだ時に強い反発力を生み出す源泉となります。蓄えられたエネルギーが解放されることでエッジが雪面に強く食い込み、特に圧雪バーンでは確実なグリップ力とターン後半の加速感をもたらします。CARVERはこのキャンバー形状をノーズからテールまで採用し、パワー伝達を重視しています。
ただし重要なのは、Bataleonがこのキャンバーと前述の3BTを巧みに融合させている点です。キャンバーによる反発力やグリップ力というメリットは維持しつつ、3BTがエッジの引っかかりやすさを軽減します。これにより、パワフルでありながらもスムーズな操作性を両立したカービングが実現できるのです。
ターン後半で粘るディレクショナルシェイプ
BATALEON「CARVER」がカービングターン後半でしっかりと粘り、深いカーブを描き切れるのは、その「ディレクショナルシェイプ」のおかげです。これは、スノーボードの形状が進行方向に対して最適化されていることを意味します。
具体的にCARVERでは、ノーズ(先端)がテール(後端)よりもわずかに長く、そして幅が広く設計されています。加えて、ビンディングを取り付けるインサートホール(ネジ穴)も、ボードの中心より少しテール寄りに配置されています(セットバック)。
この形状により、ターンに入りやすく、特にターン後半にかけてテール側のエッジがしっかりと雪面を捉え続け、安定した状態でカーブを深めていくことが可能になります。
ただし、この形状は一方向への滑走を前提としているため、スイッチスタンス(通常とは逆向きでの滑走)にはあまり向いていません。CARVERの持ち味であるターン性能を最大限に引き出すための設計と言えるでしょう。
レスポンスを高めるカーボン構造
BATALEON「CARVER」の機敏な操作感、つまりライダーの動きに対する素早い反応(レスポンス)は、内部に組み込まれたカーボン素材によるものです。カーボンは軽量でありながら非常に硬く、反発力に優れるため、ライダーの力を効率よくエッジに伝えます。
CARVERには「Dual Radial Super Tubes」という技術が採用されており、これはボードの芯材に沿って空洞のカーボンチューブを埋め込むものです。これにより、エッジへの力の伝達がダイレクトになり、ターンへの入りや切り返しが格段にスムーズになります。
さらに、ボード中央部には斜めに交差するカーボンストリンガー(帯状カーボン)が配置され、ボードのねじれ剛性を高めています。これが高速ターン中でもボードの安定性を保ち、正確なライン取りをサポートします。これらのカーボン構造が、CARVERのシャープな滑りを支えているのです。
高速滑走を支えるシンタードベース
BATALEON「CARVER」が高い滑走性能を発揮する理由の一つに、高品質な「シンタードベース」の採用があります。これは、細かな素材粉末を高圧で焼き固めて作られる滑走面のことで、密度が高く硬いのが特徴です。
このシンタードベースの最大の利点は、ワックスの吸収性と保持力に優れている点にあります。内部の微細な孔にワックスがしっかり浸透するため、その効果が長持ちし、様々な雪質でもスピードが落ちにくいのです。特に春先の湿った雪などでその差を感じやすいでしょう。
また、硬いため細かい傷がつきにくく、耐久性にも優れています。
ただし、その性能を維持するためには、定期的なワックスがけといったメンテナンスが推奨されます。高速での滑走を重視するCARVERにとって、シンタードベースは滑りの質を高める重要な要素と言えます。
中〜上級者向けの硬めフレックス設定
BATALEON「CARVER」のフレックス(ボード全体のしなり具合)は、10段階中7と、やや硬めに設定されています。この硬めのフレックスが、主に中級者から上級者のライダーに適しているとされる理由の一つです。
硬いボードは、高速滑走時の安定性が増し、ライダーの力を効率よくエッジに伝えることができます。ターン中にボードにかかる大きな力に対してもバタつきにくく、狙ったラインを正確にトレースしやすくなります。また、エッジグリップ力も高く、硬い雪面でもしっかりとコントロールできます。
一方で、ボードをしっかりとしならせるためには相応の脚力やスキルが必要となります。低速での操作やグラトリなどにはあまり向いておらず、初心者の方にとっては扱いにくさを感じる可能性があります。そのため、CARVERは高速カービングを楽しみたい中級者以上のライダーにおすすめのモデルと言えるでしょう。
BATALEON「CARVER」の滑走性能と適性の評価
カービング・パウダー
カービング | |
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フリーラン | |
パウダー | |
グラトリ(弾き系) | |
グラトリ(乗り系) | |
ラントリ | |
キッカー(小~中) | |
キッカー(中~大) | |
ジブ |
切れ味鋭いカービング性能の評価
Bataleon Carverはその名の通り、ゲレンデでのカービングターンにおいて非常に高い性能を発揮すると評価されています。このボードは、エッジを深く雪面に食い込ませ、ターン弧を描きながら滑走することに特化して設計されている点が最大の特徴です。
なぜこれほどまでにカービング性能が高いのかと言うと、ボードの形状、構造、そして素材選びに至るまで、全てがキレのあるターンを実現するために最適化されているからです。
具体的には、まず進行方向に対してノーズがテールよりもわずかに太く長い「ディレクショナルシェイプ」と、ターン後半で粘りを生むわずかな「テーパー」が採用されています。これにより、ターンへの導入がスムーズになり、ターンを深く掘り下げやすくなります。
さらに、ブーツが大きいライダーでもドラグ(ブーツやつま先が雪面に引っかかること)しにくいように、ウエスト幅が広めに設計されている点も、深いエッジアングルでのカービングを可能にする重要な要素です。
加えて、前述したしっかりとしたキャンバープロファイルとカーボン構造が、ターン中のパワー伝達とエッジグリップを最大限に高めます。これらの要素が組み合わさることで、Carverは圧雪されたバーンでシャープなラインを刻み、高速域でも安定したターンコントロールをライダーにもたらしてくれるのです。
TBTがもたらすスムーズなエッジ切り替え
Bataleon Carverの乗り味を語る上で、独自技術「Triple Base Technology(3BT)」がもたらすスムーズなエッジの切り替え感は特筆すべき点です。多くのライダーが、このボードのターンからターンへの移行が非常に軽快で速いと感じています。
その理由は、3BT特有のソール形状にあります。ボードがフラットな状態では、左右のサイドベースがわずかに持ち上がっているため、エッジが雪面に引っかかりにくく、ターンを開始する際の抵抗が大幅に軽減されます。
これを体験すると、まるでパウダースノーの上を滑っているかのような、抵抗感のないスムーズな動き出しを感じられるでしょう。
特に、圧雪された硬いバーンでは、この恩恵が顕著に現れます。従来のフルキャンバーボードではエッジの切り替え時にやや神経を使う場面でも、Carverならよりリラックスして、素早く次のターンへと移行できます。
Carverに採用されている「Freeride 3BT」と「Sidekick」技術は、このスムーズさをさらに向上させています。中央のフラットベースが比較的狭く、サイドベースのアップリフトが適切に設定されているため、わずかな体重移動やエッジング操作にも素早く反応し、ライダーの意図通りにボードをコントロールすることを助けます。この結果、連続したカービングターンがより楽しく、効率的に行えるようになるのです。
高速安定性とライン維持力の評価
Bataleon Carverは、高速域での滑走においても非常に高い安定性を発揮すると評価されています。スピードを出してカービングターンを行う際、ボードがバタついたり、コントロールを失ったりする不安感を大幅に軽減してくれるでしょう。この優れた安定性は、主にボードのしっかりとした「硬めのフレックス」と、ねじれに対する剛性の高さからもたらされます。
具体例を挙げると、まずフレックスが硬めに設定されている(10段階中7)ため、高速走行中にボードにかかる強い圧力や振動に対して、ボードが負けることなくしっかりと形状を保ちます。これにより、足元が安定し、ライダーは自信を持ってスピードに乗ったターンに集中できます。
さらに、ボード内部に組み込まれたカーボン構造(Dual Radial Super Tubesやカーボンストリンガー)が、ボードのねじれ剛性を効果的に高めています。ターン中に強い遠心力がかかってもボードが不必要にねじれることが少なく、エッジが雪面を確実に捉え続けます。
その結果、狙った通りのラインを正確にトレースする能力、つまり「ライン維持力」が非常に高くなります。荒れたバーンコンディションや、硬く締まったアイスバーンなど、シビアな状況下でも安定したコントロール性能を維持できる点は、Carverの大きな強みと言えるでしょう。
カービング以外の汎用性は?
Bataleon Carverは、その設計思想からも明らかなように、カービング性能を最優先に追求したモデルです。そのため、カービング以外の滑り方に対する汎用性については、正直なところ限定的と言わざるを得ません。このボードの真価は、あくまで圧雪されたゲレンデでの切れ味鋭いターンを楽しむことにあります。
その理由は、カービングに最適化されたスペック、特に硬めのフレックス設定とディレクショナルシェイプにあります。硬いボードは、グラトリ(グラウンドトリック)のようにボードをしならせたり、細かい操作をしたりする動きにはあまり向いていません。
また、ノーズとテールで形状や長さが異なるディレクショナルシェイプは、スイッチスタンス(通常とは逆の足で前を向いて滑る)での滑走には不向きです。
もちろん、全く他の滑りができないわけではありません。3BT技術のおかげで、ある程度のパウダー(新雪)であれば、ノーズが沈み込みにくく、それなりに浮力を感じながら滑ることは可能です。
しかし、パウダー専用ボードほどの快適さはありません。また、疲れているときにリラックスしてクルージングする程度の滑りであれば問題なくこなせます。
ただ、パークでジャンプやアイテムを楽しんだり、低速でトリッキーな動きをしたりといった用途には、より適した他のモデルを選ぶべきでしょう。Carverを選ぶ際は、「カービングを楽しむためのボード」という点を理解しておくことが重要です。
おすすめのライダーレベル
Bataleon Carverは、その性能特性から、主にスノーボードの基本的なターンをマスターし、さらにカービング技術を向上させたい、あるいは高速での安定した滑りを求める「中級者から上級者」のライダーに最もおすすめできるモデルです。初心者の方が最初に手にするボードとしては、少々扱いが難しい可能性があります。
その理由は、Carverが持つ「硬めのフレックス」と「高いレスポンス性能」にあります。ボードをしっかりとコントロールし、その性能を引き出すためには、ある程度の脚力と、ボードに正確に力を伝える技術が必要となります。
硬いボードは、低速域では曲がりにくさを感じたり、少しのミスが大きな挙動変化につながったりすることがあります。また、レスポンスが良いということは、ライダーの意図しない動きにも敏感に反応してしまう可能性があるということです。
具体的に言うと、まだターンの基礎が固まっていない初心者の方がCarverに乗ると、エッジの切り替えが難しく感じたり、ボードをうまくしならせられずにコントロールを失ってしまったりするかもしれません。
一方で、ある程度ボードを操作できる中級者以上のライダーであれば、Carverの持つシャープな反応性や高速安定性を存分に活かし、カービングターンの質を一段階引き上げることができるでしょう。自分の滑りのレベルと、ボードに求める性能を照らし合わせて選ぶことが大切です。
まとめ:BATALEON「CARVER」の評価について
BATALEON「CARVER」は、その名の通りゲレンデでのカービング性能を徹底的に追求したスノーボードです。最大の特徴である独自技術「Triple Base Technology(3BT)」、特にカービング向けのFreeride 3BT + Sidekickは、エッジの引っかかりを劇的に減らしながら、驚くほどスムーズで素早いターン切り替えを実現します。
しっかりとしたキャンバープロファイルと内部のカーボン構造が高い反発力とレスポンスを生み出し、ディレクショナルシェイプがターン後半での粘り強いエッジグリップをサポートすることで、切れ味鋭いカービングターンが可能になります。また、硬めのフレックス設定とシンタードベースにより、高速域での安定性と滑走性も抜群です。
ただし、その性能はカービングに特化しているため、グラトリや本格的なパウダーライディング、スイッチスタンスでの滑走といった汎用性は高くありません。基本的なターンをマスターし、さらに上のレベルのカービングを目指したい中級者から上級者のライダーにとって、Carverはゲレンデクルージングの質を格段に引き上げてくれる、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
このほかにもBATALEONには個性的なブーツがリリースされています。他の記事でBATALEONの全モデルを解説した記事もあるため気になる方はご確認ください。
それでは、あなたのスノーボードライフがより充実しますように!